研究課題/領域番号 |
20K07295
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松永 慎司 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30704910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍 / 自然免疫 |
研究実績の概要 |
本研究目的はPHD阻害薬が生体内で腫瘍内マクロファージ (Mf) を腫瘍増大抑制性Mfへと変化させる詳細機序を明らかにすることである。in vitroにおけるHIFの亜型であるHIF-1、HIF-2発現レベルを変えることでMfを炎症性および抗炎症性に極性化させる報告はなされているが、生体腫瘍内MfにおいてHIF-1、HIF-2の発現状態を変えることによるMfの表現型を変えるという報告はほとんどない。昨年度は作製されたMf特異的HIF-1、HIF-2過剰発現について腫瘍に対する影響について解析を行い、MfのHIF-1、HIF-2発現が表現型、機能に及ぼす影響について検討を行った。また、併せてMf特異的HIF-1、HIF-2欠損腫瘍移植モデルマウスに対しPHD阻害薬を投与し腫瘍に対する影響の検討を行った。これらの検討結果より、Mf特異的HIF-1過剰発現マウスおよびMf特異的HIF-2欠損マウスに対しPHD阻害薬を投与した腫瘍においてその増大抑制が観察された。このことから腫瘍内MfにおいてHIF-1発現上昇させることが腫瘍増殖抑制に寄与する可能性が示唆された。一方で、Mf特異的HIF-2過剰発現およびMf特異的HIF-1欠損マウスに対しPHD阻害薬を投与した腫瘍において、有意な腫瘍増大などの変化は認められなかった。 腫瘍移植モデルマウスにPHD阻害薬を投与した腫瘍組織ならびに遺伝子改変マウスに移植した腫瘍組織よりMfを単離し、種々の遺伝子の発現解析を行い、高発現している遺伝子および、そのタンパク質発現について解析を行った。その結果、PHD阻害薬投与により腫瘍増殖抑制に寄与する可能性のある候補遺伝子が見出された。今後、これらの候補遺伝子について評価、検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画書に記載した研究計画どおりに進んでいる。また、PHD阻害薬投与による腫瘍抑制に寄与していると考えられるMfの遺伝子について、候補遺伝子として数種の遺伝子へと絞り込みを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も研究実施計画書に記載した計画に沿って研究を行い、腫瘍抑制に寄与すると考えられる候補遺伝子について評価、検証を行い、腫瘍内Mfにおける腫瘍抑制因子に明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析に関係する費用が当初予想よりも低く抑えられたが、再確認、解析、検証も必要であった。その費用について次年度へ繰越している。 また、学会、研究会などの多くがオンラインとなったため、旅費支出が当初予定よりも少なくなったため。
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