研究課題
基盤研究(C)
認知症の発症には、脳内において酸化ストレスを惹起する肥満および高血糖の病態が関与することが示唆されている。神経細胞に存在するGTRAP3-18は、重要な抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)合成や摂食および血糖値を制御するタンパク質であり、脳内においてはmicroRNA(miR-96-5p)による制御を受けている。本研究では、miR-96-5pを抑制する核酸薬であるantimiR-96-5pを肥満・糖尿病モデルマウスに経鼻投与した結果、脳内におけるGSH量増加の可能性が示唆された。
神経科学
本課題は、認知症発症の危険因子と考えられる肥満・糖尿病が脳内で引き起こす酸化ストレスを抑制するため、新たな遺伝子治療薬となりうる「microRNA標的核酸分子」を動物実験に応用した研究である。脳内における重要な抗酸化物質であるグルタチオンの産生を促進すると同時に摂食抑制・血糖値低下をもたらすタンパク質を制御しているmicroRNAの働きを抑制する核酸薬antimiRを投与し、肥満・糖尿病を改善すると同時に認知症の発症および病態進行を抑制する新たな治療戦略に基づいた研究である。