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2021 年度 実施状況報告書

軟骨細胞シートの軟骨再生機序を基盤とする軟骨損傷治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07297
研究機関東海大学

研究代表者

豊田 恵利子  東海大学, 医学部, 特任准教授 (90749269)

研究分担者 佐藤 正人  東海大学, 医学部, 教授 (10056335)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード細胞シート / 再生医療 / 硝子軟骨 / 軟骨分化
研究実績の概要

軟骨は無血管組織であり一度損傷を受けると通常では自然修復しないが、軟骨細胞シートを軟骨損傷部へ移植することにより、硝子軟骨の再生が促進されることが示されている。しかし、細胞シートの軟骨再生促進作用の詳細な機序は明らかとなっていない。
軟骨細胞シートによる硝子軟骨の修復・再生には細胞シートが分泌する因子が寄与すると考えられることから、これまでに、軟骨細胞シートが産生する因子の網羅的な解析を実施し、硝子軟骨再生促進作用と産生量に相関がみられる液性因子の解析を行ってきた。本研究は、細胞シートの有効性相関因子の軟骨組織における機能を解析することにより、細胞シートの硝子軟骨再生促進作用に寄与する因子とその機能を明らかにし、細胞シートの作用機序を模した関節軟骨修復促進薬の開発につなげることを目的とする。
これまでに、網羅的解析から細胞シートの有効性相関因子として同定された複数の因子についてそれぞれの産生量をELISAで確認し、さらに軟骨再分化時における発現変動の解析を行った。有効性相関因子のうち3つは再分化により発現が減少、1つは増加しており、移植前の細胞シートの状態と関節内における軟骨再分化時でその産生量が変化することが示唆された。また、有効性相関因子が細胞シートの軟骨再分化においてオートクラインに作用するか確認するため、軟骨分化誘導時に有効性相関因子の添加を行い、2つの因子が特定条件下で軟骨分化を促進することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、有効性関連因子として同定された液性因子のうち、軟骨再生促進作用に寄与する因子の同定とその作用機序を明らかにすることを目的としている。これまでに、網羅的解析から細胞シートの有効性相関因子として同定された複数の因子についてそれぞれの細胞シートにおける産生量をELISAで確認した。また、異種同所性移植モデルにおいて再生した硝子軟骨は部分的に移植した軟骨細胞シート由来であったことから、細胞シートの軟骨再分化が軟骨修復に寄与すると考えられたことから、軟骨再分化時における有効性相関因子の発現変動の解析を行った。その結果、有効性相関因子のうち3つは再分化により発現が減少、1つは増加しており、移植前の細胞シートの状態と関節内における軟骨再分化時でその産生量が変化することが示唆された。そこで、生体内の軟骨修復過程における各因子の局在を明らかにするため、異種同所性移植モデルにおいて細胞シート移植により修復された組織における有効性相関因子の免疫組織化学染色を実施中である。また、有効性相関因子が細胞シートの軟骨再分化においてオートクラインに寄与するか確認するため、ペレット培養により軟骨分化誘導を行い、各因子の軟骨分化に対する作用を解析した。その結果、検討した4つの因子のうち、2つの因子がTGFβ1および、BMP2が誘導する軟骨分化を促進した。これらの因子は、関節内における細胞シートの軟骨再分化時に局所における軟骨アナボリック因子として作用している可能性が示唆された。現在までに解析を行った4つの有効性関連因子のうち2つの因子に軟骨修復促進作用が示唆されたが、いずれも全身性遺伝子ノックアウトマウスの解析がすでに行われているため、細胞シートにおける遺伝子ノックダウンによる軟骨分化への影響の確認に注力した。siRNA配列の選定と長期的なノックダウンの条件設定を行っている。

今後の研究の推進方策

異種同所性移植モデルにおいて細胞シート移植により修復された組織における有効性相関因子の免疫組織化学染色を進め、体内の軟骨修復過程における各因子の局在を明らかにする。
4つの有効性関連因子のうち2つの因子に軟骨修復促進作用が示唆されたが、いずれも全身性遺伝子ノックアウトマウスの解析がすでに行われており、組織発生における変化や関節炎への感受性については既報があることから、ノックアウトマウスの作製については、中止した。細胞シートの有効性への寄与を明らかにするため、細胞シートにおける遺伝子発現減少の軟骨分化能への影響を検討する。これまでに、siRNAの配列は決定しているが、細胞シートは初代細胞であり、培養期間と軟骨分化能の解析の培養期間中継続的に十分な遺伝子抑制が認められるか確認が必要である。難しい場合はレンチウイルスベクターによる導入など別の手法を検討する予定である。
これらの結果から、細胞シートの有効性への寄与が強く示唆された因子について、タンパク質の関節内徐放または関節内でのタンパク質の発現を実現するために、関節内投与方法の検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

ノックアウトマウスの作製を中止し、in vitroにおけるノックダウンの解析に注力することとしたため、ベクター等の購入を保留した。
in vitro軟骨分化誘導系における長期的な遺伝子抑制を確立するため、現状の手法で抑制が不十分な場合、ベクター等の購入に使用する。
また、有効性相関因子の関節内投与用を目的とした投与用薬剤の調製、動物の購入に用いる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 多指症由来軟骨細胞シートが産生する有効性関連因子の軟骨分化誘導における発現調節2022

    • 著者名/発表者名
      豊田恵利子
    • 学会等名
      第34回日本軟骨代謝学会
  • [学会発表] 同種細胞シートの原料細胞評価指標としての遺伝子発現解析2022

    • 著者名/発表者名
      豊田恵利子
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会
  • [備考] 関節治療を加速する細胞シートによる再生医療の実現

    • URL

      http://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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