研究課題
1型Na+/Ca2+交換輸送体(NCX1)は遠位尿細管の基底膜側に主に発現し、腎臓のCa再吸収に関与すると考えられている。本研究では、基底膜側へのNCX1発現局在が各種受容体刺激により調節され、腎臓のCa再吸収が制御されることについて、in vitro & in vivo実験系により実証することを目的としている。本研究の成果により、Ca代謝異常症(高Ca血症、低Ca血症)に関する病因・病態の解明が進むとともに、新規治療法の開発に繋がることが期待される。令和2年度までに、野生型NCX1および変異型NCX1(膜局在異常型)のEGFP標識タンパク質をMDCK細胞に遺伝子導入して、基底膜側へのNCX1の局在機序を解析した。また、各種受容体刺激時のCa2+シグナルとNCX1発現局在の時空間的因果関係を調べるため、Ca2+シグナルとNCX1局在の同時イメージング解析を実施した。令和3年度は、独自に作出した遠位尿細管特異的EGFP標識NCX1導入マウス、遠位尿細管特異的GCaMP6導入マウスおよび膜局在異常型NCX1ノックインマウスを用いて、各種受容体刺激下で遠位尿細管細胞内Ca2+濃度およびNCX1局在をイメージング解析する実験系を確立した。まず、生体マウス腎臓のin vivoイメージング解析に入る前に、腎スライスを用いて、各種受容体刺激による遠位尿細管細胞内Ca2+濃度とEGFP標識NCX1局在を解析し、これまでのin vitro実験結果をin vivo実験系で実証する予備検討を実施した。令和4年度は、これらの遠位尿細管特異的遺伝子改変マウスを用いたin vivoイメージング解析により、基底膜側へのNCX1局在機序を詳細に追究して行く予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画調書に従って、令和3年度は独自に作出した遠位尿細管特異的EGFP標識NCX1導入マウス、遠位尿細管特異的GCaMP6導入マウスおよび膜局在異常型NCX1ノックインマウスを用いて、各種受容体刺激下で遠位尿細管細胞内Ca2+濃度およびNCX1局在をイメージング解析する実験系を確立した。まず、生体マウス腎臓のin vivoイメージング解析に入る前に、腎スライスを用いて、各種受容体刺激による遠位尿細管細胞内Ca2+濃度とEGFP標識NCX1局在を解析し、令和2年度のin vitro実験結果をin vivo実験系で実証する予備検討を実施した。特に、研究内容の変更や研究実施上の大きな問題は生じていない。
令和4年度は、独自に作出した遠位尿細管特異的EGFP標識NCX1導入マウス、遠位尿細管特異的GCaMP6導入マウスおよび膜局在異常型NCX1ノックインマウスを用いて、各種受容体刺激下で遠位尿細管細胞内Ca2+濃度およびEGFP標識NCX1局在をin vivoイメージング解析することにより、基底膜側へのNCX1局在機序を詳細に追究して行く予定である。
令和4年4月より、遺伝子改変マウスの飼育費用が1.6倍に値上がりし、また、実験試薬や実験器具の値上がりも予定されているため、約30万円を次年度使用額として繰り越すこととした。なお、実験計画や使用計画の変更はありません。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Sci Adv
巻: 7 ページ: eabe8132
10.1126/sciadv.abe8132.
https://www.med.fukuoka-u.ac.jp/pharmaco/index.html