研究課題/領域番号 |
20K07317
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
石倉 周平 福岡大学, 医学部, 准教授 (40336631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セントロメア / ncRNA / エピゲノム / ZFAT / ヒストンアセチル化 / KAT2B・PCAF / BRD4 / CENP-B |
研究実績の概要 |
細胞分裂において複製した染色体を正確、かつ均等に娘細胞に分配することは、個体の発生や生命の継承にとって必須である。均等な染色体分配に必須の染色体領域であるセントロメアの形成・維持において、セントロメアにおけるノンコーディングRNA(ncRNA)の転写が重要であり、その異常がガンと関係があることが知られているが、その制御機構については不明である。研究代表者は、核に局在するZnフィンガータンパク質であるZFATがセントロメアに結合し、ncRNAの転写を制御する可能性を新たに見出した。また、大規模データベースにおける解析により、ZFATの機能および発現異常と、ガンとの関連性が示唆された。 計画初年度に、ZFATが、セントロメアに広く分布する特定の8塩基のDNA配列に結合することを見出し、このDNA配列をZFAT boxと命名した。また、ZFATがヒストンアセチル化酵素KAT2Bをセントロメアにリクルートし、ヒストンH4リジン8のアセチル化を誘導すること、さらに、そのアセチル化ヒストンを介してセントロメアへ結合したブロモドメインタンパク質BRD4がRNAポリメラーゼIIを活性化することにより、セントロメアncRNAの転写が活性化されることを明らかにし、ZFATによるセントロメアncRNAの転写制御メカニズムを解明した。これらの結果をNucleic Acids Research誌に発表した。2021年度には、ZFATのセントロメアへの結合にセントロメア局在タンパク質であるCENP-Bが重要な役割を担っていることを明らかにし、Journal of Biological Chemistry誌に発表した。引き続き、ZFATの機能・発現異常とガンとの関連性について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画初年度において、ZFATがセントロメアに結合する分子機構、およびKAT2Bをセントロメアにリクルートすることにより、ヒストンH4リジン8のアセチル化を誘導することを明らかにした。さらに、アセチル化ヒストンH4リジン8にブロモドメインタンパク質であるBRD4が結合することにより、セントロメアncRNAの転写が活性化されることを見出し、ZFATによるセントロメアncRNAの転写制御機構を明らかにし、これらの結果をNucleic Acids Research誌に発表することができた。2021年度には、ZFATのセントロメアへの結合にセントロメア局在タンパク質であるCENP-Bが重要な役割を担っていることを明らかにし、Journal of Biological Chemistry誌に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ZFATによるセントロメアncRNAの転写制御機構の分子メカニズムを解明することができたので、今後は、その生理的重要性を明らかにすることを目指していく。さらには、ZFATによるセントロメアncRNA転写制御機構と病気との関係、特に、ガンとの関連性について解析を進めていく。ZFAT遺伝子の変異ががんの発症・進展につながることが示唆されている。ZFATの機能・発現異常とガンとの関係について解析を進め、新規がん治療法の開発の基盤知識の構築を目指していく。
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