研究課題/領域番号 |
20K07319
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研究機関 | 滋賀県立総合病院(研究所) |
研究代表者 |
谷垣 健二 滋賀県立総合病院(研究所), 神経病態研究部門, 専門研究員 (70362473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 22q11 deletion syndrome / schizophrenia / Comt / Dgcr8 / NgR1 |
研究実績の概要 |
統合失調症は多因子遺伝病であるが、その遺伝性の複雑性のため原因遺伝子の同定には至っていない。22q11.2領域を欠損すると統合失調症が高頻度で生じることが知られている。22q11欠損症候群のモデルマウスの発生学的、行動学的解析を行った結果、海馬歯状回と大脳皮質 介在神経細胞の発生遅延をきたし、統合失調症様行動異常(Prepulse inhibition (PPI)での感覚情報処理異常、MK801等のNMDA受容体阻害剤への感受性亢進、社会行動異常)を示すことが明らかとなった。22q11欠損領域には、神経発生に関与する遺伝子群(Dgcr8,NgR1, Zdhcc8, Ranbp1)、ドーパミン関連遺伝子群、NMDA受容体関連遺伝子が存在する。令和3年度は新たにComt KO マウスやTbx1KO マウスの行動解析を行った。特にComtはドーパミンを分解する酵素であるため、行動異常との関連が期待されたが、大きな行動異常は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
22q11欠損領域に存在する遺伝子群の中で、統合失調症発症に関与する可能性のある神経発生、ドーパミンに関連する遺伝子群の単独の遺伝子のノックアウトマウスの神経発生学的、行動学的解析を予定通り終了することができたが、double KO マウスの数がそろわず、実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
行動異常に関与が疑われる候補遺伝子の単独のノックアウトマウスを入手、もしくは作成し発生学的、行動学的解析を行ってきた。 驚くべきことに、22q11欠損領域に存在する神経発生に関与する遺伝子群の単独ノックアウトマウスのいくつかは、統合失調症様行動異常を示すが、その行動異常プロフアイルは22q11欠損症候群と異なることが明らかとなった。行動異常に関与が疑われる候補遺伝子を掛け合わせて、ダブルノックアウトマウスを作製し、行動実験や発生学的解析を行うことによって、22q11領域におけるどの遺伝子群の欠損の相互作用が行動異常や神経発生異常を惹起するのか明らかにする。また、22q11領域の遺伝子欠損と協調して統合失調症様行動異常に影響を与える遺伝子群をQTL解析で同定することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
22q11欠損領域に存在する遺伝子群の中で、統合失調症発症に関与する可能性のある神経発生、ドーパミンに関連する遺伝子群の単独の遺伝子のノックアウトマウスの神経発生学的、行動学的解析を予定通り終了することができたが、double KO マウスの数がそろわず、実験が遅れているため、次年度使用額が生じた。
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