研究課題/領域番号 |
20K07326
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
茶屋 太郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (50747087)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 繊毛 / リン酸化 / タンパク質輸送 / キナーゼ / 繊毛病 / 網膜 / ゲノム編集 / マウス |
研究実績の概要 |
繊毛は細胞の表面に形成される微小管を軸とした細胞小器官であり、生物の発生過程や恒常性維持において重要な役割を担う。ヒトにおいて繊毛の機能不全は網膜色素変性症などの繊毛病と呼ばれる一群の疾患を引き起こすことが知られているが、その発症メカニズムは不明な点が多く、根本的な治療法も存在しない。繊毛の形成や機能発現において、繊毛内における蛋白質の輸送(IFT)は中心的な役割を担っている。申請者はこれまでにセリン・スレオニンキナーゼMakとIckがIFTの制御に必須であり、個体の発生や生理機能に重要であることを明らかにした。しかし、IFTを制御するメカニズムに関しては不明な点が多い。本研究ではまず、MakやIckがどのようにして繊毛形成に関わっているかを明らかにするために、マウスの脳・網膜組織を用いてIckと相互作用する分子をスクリーニングし、Ickの制御因子やリン酸化基質の探索を試みた。このスクリーニングにより、Ickと相互作用する候補因子として、繊毛病原因遺伝子であるIck-interacting protein (Icip)を見出した。免疫沈降法によってIckとIcipの相互作用解析を行ったところ、IckはIcipのC末端領域と結合することが明らかとなった。注目すべきことに、ヒトICIPのC末端領域を欠損させる変異が、繊毛病の原因であると報告されている。これらの結果と知見から、ゲノム編集技術を用いてIcipのC末端領域が欠損したIcip部分機能欠損マウスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ickと相互作用する因子をスクリーニングで見出し、その機能を個体レベルで解析できるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はIcip部分機能欠損マウスに対して電気生理学的、解剖学的解析などを行っていく。
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