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2021 年度 実施状況報告書

Notchリガンド:Dll4の結合特性を基盤とした選択的Dll4阻害剤の探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K07330
研究機関東海大学

研究代表者

穂積 勝人  東海大学, 医学部, 教授 (30246079)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードNotchリガンド / Dll4 / Dll1 / 立体構造 / 胸腺 / パイエル板
研究実績の概要

我々は、Notchリガンド:Dll1とDll4の構造と機能の差異について、それぞれのキメラ分子を多数構築し、調べてきた。また、Dll1、Dll4誘導型遺伝子欠損(flox)マウスやCre依存的発現誘導マウスを用い、両分子の機能的差異や免疫応答における役割についても、検証している。今年度は、以下の知見を得ることができた。
(1)構造的差異 昨年度に見出したDSL領域C末側の2塩基の違いについて、それぞれDll1とDll4の置換変異体を作製し、機能を検証した。いずれも機能低下を認め、同塩基を含む構造が、Dll1/Dll4いずれの機能においても重要なDSL領域を特徴づけていることが明らかになった。また、Dll4のDSL領域を特異的に認識する、我々が独自に作製したmAbは、Dll4の同2塩基変異体にまったく結合せず、上記結論を支持した。
(2)Dll1/4の機能的差異のin vivo検証 胸腺上皮特異的Dll4欠損マウス(Foxn1-Cre、Dll4-floxed)を、Cre依存的Dll4発現マウスと交配することで、T細胞分化が回復することを示した。同様に、Dll1によっても回復し、Dll1が胸腺環境にて機能することが明確にできた。さらに、Notch1、Notch2欠損造血細胞を用いた骨髄キメラマウスによる解析から、Dll1は、胸腺にて、Notch1あるいはNotch2とのいずれにもシグナルを付与するのに対し、Dll4は、Notch1においてのみシグナル伝達を促した。以上の結果から、Dll1、Dll4間の機能的差異は、Notch受容体へのシグナル伝達能の違いに帰着することをin vivoにて示すことができた。
(3)パイエル板におけるNotchシグナルの意義 上記した遺伝子改変マウスを用い、パイエル板での生理的なTfh細胞の機能分化にNotchシグナルが重要であることを明確にした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Dll4がNotch1と結合する際の結合部位2箇所を、MNNL領域(Site 1)に加えて、DSL領域(Site 2)でも明示することができた。特に後者においては、特異抗体を独自に保持しており、その構造・機能解析に有用なツールとなることが期待できる。両者を介した結合を特異的に制御できれば、Dll1と区別される、Dll4に特異的な薬剤の開発につながるものと考えられる。また、Dll1/4の相違によるT細胞分化誘導、NotchシグナルによるT細胞機能分化を検証するin vivo実験系にも、一定の目処をつけることができた。

今後の研究の推進方策

これまでの成果をもとに、MNNL、DSL両者を同時に抑制することによる相乗効果について検証するとともに、in vivoモデルを反映した実験系にて、その効果を調べることに注力する。

次年度使用額が生じた理由

今年度も、一部のプラスティック製品および試薬の納入が滞ったことで、消耗品費に差額が生じた。残額(129,603円)は、前年度に購入予定としていた製品(プラスティック消耗品、試薬)の購入に当てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Dll1 Can Function as a Ligand of Notch1 and Notch2 in the Thymic Epithelium2022

    • 著者名/発表者名
      Hirano Ken-ichi、Hosokawa Hiroyuki、Yahata Takashi、Ando Kiyoshi、Tanaka Masayuki、Imai Jin、Yazawa Masaki、Ohtsuka Masato、Negishi Naoko、Habu Sonoko、Sato Takehito、Hozumi Katsuto
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 13 ページ: 852427

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.852427

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] LMO2 is essential to maintain the ability of progenitors to differentiate into T-cell lineage in mice2021

    • 著者名/発表者名
      Hirano Ken-ichi、Hosokawa Hiroyuki、Koizumi Maria、Endo Yusuke、Yahata Takashi、Ando Kiyoshi、Hozumi Katsuto
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 10 ページ: e68227

    • DOI

      10.7554/eLife.68227

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Notch signaling supports the appearance of follicular helper T cells in the Peyer’s patches concomitantly with the reduction of regulatory T cells2021

    • 著者名/発表者名
      Yazawa Masaki、Hosokawa Hiroyuki、Koizumi Maria、Hirano Ken-ichi、Imai Jin、Hozumi Katsuto
    • 雑誌名

      International Immunology

      巻: 33 ページ: 469~478

    • DOI

      10.1093/intimm/dxab032

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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