研究課題
我々は、Notchリガンド:Dll1とDll4の構造と機能の差異について、それぞれのキメラ分子を多数構築し、調べてきた。昨年度、独自に作製した抗Dll4 mAbが認識するDll4のDSL領域C末側の2アミノ酸が、Dll4の機能にきわめて重要であり、Dll1との機能的差異を支持する重要な領域であることを示した。今年度は、既報により、上記したDll4領域と直接結合すると推測されるNotch1の細胞外領域(EGF様リピート11番目および12番目)の各アミノ酸残基について、Notch2との差異について調べ、Notch1機能発現に重要な糖鎖が付加されるSer435が、Notch2当該部位には存在しないことを認めた。そこで、同部位のアミノ酸を、Notch1、Notch2間でそれぞれ置換したNotch1 S435A、Notch2 A439S変異体を作成し、その機能について検証した。その結果、前者は細胞膜上に安定して発現するものの、Notch1と比較し、Dll4による活性化が著しく低下したことから、Dll4 DSL領域C末側とNotch1 Ser435(およびその修飾糖鎖)との結合は、きわめて重要であることが明らかになった。一方、後者とDll1によるNotchシグナル誘導は、Notch2と比較しやや低下するのに対し、Dll4によるシグナル誘導は、ほとんど変化せず、Notch2シグナル誘導能におけるDll1優位性に一定の変化を認めた。このことは、Notch2 EGF11に新たに生じた糖鎖付加が、Dll1との結合には負の影響があるのに対し、Dll4との結合についてはそれを打ち消す正の効果があるものと理解された。以上のことから、Dll4/Notch1結合における上記領域の重要性が明確になるとともに、Dll4/Notch2との違いを説明する一因である可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Front in Microbiol
巻: 14 ページ: 1031997
10.2289/fmicb.2023.1031997