研究課題/領域番号 |
20K07333
|
研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
阿部 雄一 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 主任研究員 (30731632)
|
研究分担者 |
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
山口 類 愛知県がんセンター(研究所), システム解析学分野, 分野長 (90380675)
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | マイクロペプチド / 癌特異的抗原 / プロテオゲノミクス / 癌ワクチン / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度までに構築したHLA class1抗原のプロテオーム測定系を用いて、肺癌患者由来培養細胞・胃癌Patient-derived xenograft(PDX)サンプルからの抗原同定を進めた。患者癌由来細胞からは、通常のデータベースサーチ、De novo ペプチドシーケンスの結果を合わせると、約19000種の癌抗原ペプチドの同定を実現した。その中でも特に、既知のプロテオーム情報には依存しない未知の癌抗原ペプチドを、De novoペプチドシーケンスによって10000種近く同定できることがわかり、それら未知の癌抗原ペプチドの内30%以上が、全ゲノムから理論上生成しうるペプチド母集団内で上位1%以内の、高い抗原提示スコア(netMHCpanにより算出)を示すことも明らかにした。 並行して、変異タンパク質を含んだ癌患者個別のタンパク質/癌抗原同定を可能にするパイプラインの導入を、共同研究者と進めた。ゲノム・トランスクリプトーム解析環境の整備が完了し、現在HLA genotypingに必要な解析環境の構築を進めている。また患者固有のゲノム・トランスクリプトーム情報から、個人別でタンパク質アミノ酸データベースfastaファイルを作成できるカスタマイズドパイプラインの導入も完了している。このパイプラインを用いた場合、患者由来癌細胞のHLA class1抗原プロテオームや、血中の抗原-抗体プロテオームから、non-coding RNAから翻訳されたマイクロペプチド抗原が同定され、既知のヒト遺伝子いずれとも配列が共通しない事を確認した。 現在、肺癌患者由来培養細胞にて同定された癌抗原が、患者内のCD8陽性T細胞に対する免疫原性を持つか、検証実験の準備を進めている。胃癌についても、免疫原性の検証実験のため、患者組織由来腫瘍浸潤リンパ球からのTCR配列取得の準備を進めている。
|