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2020 年度 実施状況報告書

がん細胞のリボソーム構成タンパク質の発現解析と転写後調節への関与

研究課題

研究課題/領域番号 20K07336
研究機関千葉大学

研究代表者

松下 一之  千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)

研究分担者 澤井 摂  千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10400962)
石毛 崇之  千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (30757315)
木村 明佐子  国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (40727939)
西村 基  千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80400969)
星野 忠次  千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (90257220)
北村 浩一  千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (90842881)
小林 崇平  国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (90846940)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードリボソーム / rRNA / ヒストンアセチル化 / スプライシング
研究実績の概要

癌や希少疾患などにおけるリボソームの構成タンパク質の種類や数、組成などについては最近基礎的な研究報告がみられるが、臨床検体を用いた研究はほとんど行われていない。特に本研究の着想に至った経緯は、転写やスプライシングに関与するタンパク質(FIRやFIRΔexon2)と相互作用するタンパク質群にリボソームRNA,スプライシング因子(hnRNPs),mRNA結合タンパク質が多いこと、関連する論文を調査して着想に至った。これらの研究には20年近い時間を要しており、これまので実験データを見返すと、本申請書に記載したアイデアを裏付けるものである。その意味では、本研究の目的および学術的独自性と創造性極めて高いと考えている。 疾患における診断や治療標的となるバイオマーカー探索は世界中で競争が激しい。一方、リボソームタンパク質に注目したバイオマーカーはほとんど報告されていない。その理由は質量分析による詳細な検討が最近まで行われてこなかったことが一因である。さらには、臨床検体を用いたリボソームタンパク質などのRNAの転写後調節に関わるタンパク質は数百におよび、解析が困難であった。しかし近年の質量分析技術やNGS等の遺伝子解析技術の急速な進歩により、これまで難しかった網羅的な遺伝子およびタンパク質の発現解析が可能となった。本研究は長年にわたるこのような解析から、転写、スプライシング因子として同定されたFIR(Far-upstream element-binding protein-interacting repressor)(別名PUF60)が、多数のリボソームタンパク質の遺伝子rDNAおよびrRNAを同時に発現調節していることを明らかにするものであり、画期的な研究と考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

FIR(Far-upstream element-binding protein-interacting repressor)(別名PUF60)が、多数のリボソームタンパク質の遺伝子rDNAおよびrRNAを同時に発現調節している基礎的データを得た。

今後の研究の推進方策

課題1.FIRおよびFIRΔexon2がどのような遺伝子の発現調節や選択的スプライシングに影響を与えるかをRNA-seqにより調べる。複数の癌細胞株を用いて、遺伝子導入やsiRNAによりFIRおよびFIRΔexon2を発現変化させて、どのような遺伝子にスプライシング変化や発現量の変化が起こるかを調べる。FIR(スプライシング因子としての機能も持つ)はFIR 自身のpre-mRNAのスプライシングに関与する。癌ではFIRのプライシング異常が起こりFIRΔexon2が産生される。つまりautocatalytic(feed-forward loop)な制御が存在している。
本研究では、最初にFIRおよびFIRΔexon2が標的とするrDNAの同定を行い、どのようなrRNAが転写されているかを調べる(北村、小林、松下)。
課題2.FIRおよびFIRΔexon2がどのような遺伝子のヒストンのアセチル化に影響するかをCHIP-seqにより調べる。さらに、nucleolusでRNA Pol Iにより転写されるrDNAのヒストンアセチル化はtransformation/transcription domain associated protein (TRRAP)によることが知られている。これまでの検討ではFIRΔexon2 はTRRAPと共沈するがFIRとは共沈しない。このことから、FIRΔexon2はnucleolusにおけるrDNAの転写をより強く亢進することが推測される。本研究では、基礎的な実験で本仮説を検証する(北村、松下)。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響で、学会参加のための旅費を使用しなかったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Anti-FIRΔexon2 autoantibody as a novel indicator for better overall survival in gastric cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi S, Hiwasa T, Ishige T, Kano M, Hoshino T, Rahmutulla B, Seimiya M, Shimada H, Nomura F, Matsubara H, Matsushita K.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 112 ページ: e1-e13

    • DOI

      10.1111/cas.14767

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Post-transcriptional regulation of BRG1 by FIRΔexon2 in gastric cancer.2020

    • 著者名/発表者名
      Ailiken G, Kitamura K, Hoshino T, Satoh M, Tanaka N, Minamoto T, Rahmutulla B, Kobayashi S, Kano M, Tanaka T, Kaneda A, Nomura F, Matsubara H, Matsushita K.
    • 雑誌名

      Oncogenesis

      巻: 9 ページ: 26-36

    • DOI

      10.1038/s41389-020-0205-4

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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