研究実績の概要 |
計画書課題1「ASCスプライスバリアントの機能の解明」 SARS-CoV-2由来ORF3aがASCに干渉してインフラマソーム機能亢進をもたらすことが報告されている。そこでTHP-1細胞を用いたASCとORF3aの共発現系を構築し、ASC野生型と既に見出しているエクソン2欠損型スプライスバリアント(Δexon2)間の刺激後IL-1β産生を比較した結 果、Δexon2では野生型と比較してORF3a共存下で有意に高いIL-1β産生を認めた。またインフラマソームに結合するTHP-1細胞中因子を免疫沈降法と質量分析によって探索した結果、抗菌ペプチドDermcidinがASCとCaspase-1に結合することを発見した(投稿中)。 計画書課題2「ASCスプライスバリアントの産生機序の解明」 ASCはエクソン1上流SNPによってΔexon2が優位になる一方、IL-1βによって野生型が優位になることを認めている。そこでIL-1β刺激THP-1細胞のトランスクリプトーム解析をRNAseqによって実施した結果、スプライシング調節因子MASCRNAやU1 small RNA variant (RNVU) などの発現上昇を認めた。MASCRNAについてはqPCRによる検証を行い、発現上昇を確認した。当研究室から報告済みの通り、Δexon2は野生型に比して高いIL-1β産生に関与する。これらより、SNPによるΔexon2発現によってIL-1βが亢進し、これがMASCRNAなどスプライシング制御因子を誘導することでΔexon2が減少するフィードバックループ が生じることでIL-1βなど炎症性サイトカインの周期的発現を惹起する可能性が示唆され論文公表を行った (Hattori M et al., Asian Pac J Allergy Immunol. 2022)。
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