小胞体膜タンパク質STINGは、ウイルスなどに由来する細胞質DNAに応答して活性化すると、ゴルジ体へ移行して炎症シグナルを誘導する。しかし、STINGがどのようにして小胞体からゴルジ体へ輸送されるのかについては不明な点が多く残されている。本研究ではゲノムワイドノックアウトスクリーニングにより、STINGの小胞体からゴルジ体への輸送に関与する因子としてCOPII輸送小胞の構成タンパク質であるSec24Cを同定した。また一方でSTINGのインタラクトーム解析を行い、STINGの新規相互作用分子としてACBD3を同定した。STINGの輸送過程におけるACBD3の役割を調べるため、超解像顕微鏡を用いてSTINGとACBD3のライブセルイメージングを行った。その結果、小胞体に局在するSTINGはゴルジ体に局在するACBD3と接触を繰り返しながらゴルジ体側へと集められていくことがわかった。HeLaやhTERT-BJ1、hTERT-RPE1などの様々な細胞においてACBD3を欠損すると、STINGの小胞体からゴルジ体への輸送が遅延することが明らかとなった。しかしながら、輸送が完全に抑制されるわけではなかった。そこでsiRNAを用いてSec24Cを同時にノックダウンしたところ、STINGの輸送がさらに減弱した。これらの結果から、Sec24C (COPII輸送小胞)とACBD3が協調的に働くことでSTINGの輸送を制御している可能性が示唆された。現在、Sec24C、ACBD3、STINGの関連性を明らかにするため、三者の同時イメージング解析を進めている。
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