• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

歯周炎自然発症カニクイザル歯肉への抗FLT1抗体投与による新規歯周炎治療の試み

研究課題

研究課題/領域番号 20K07344
研究機関日本大学

研究代表者

山口 洋子  日本大学, 歯学部, 講師 (00239922)

研究分担者 大島 光宏  奥羽大学, 薬学部, 教授 (30194145) [辞退]
齋藤 朗  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90591412)
山海 直  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 再雇用職員 (80300937) [辞退]
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード生体外歯周炎モデル / 歯周炎関連線維芽細胞 / VEGFR阻害剤 / コラーゲン分解 / 初代培養細胞
研究実績の概要

申請者らは、歯周組織を構成する歯肉上皮細胞と歯肉線維芽細胞を組み合わせた3次元培養「生体外歯周炎モデル」を構築し、極度のコラーゲン分解を引き起こす歯周炎関連線維芽細胞(PAF)が重度歯周炎罹患歯肉に存在することを発見した。今までにこのモデルを用いてVEGFR1キナーゼ阻害剤がコラーゲン分解を抑制することから、VEGFR1が重要な治療標的候補分子であることを報告してきた。新型コロナ感染拡大による研究環境の制限が生じたことから、当初の研究計画を大きく見直した。歯周組織に存在する細胞群から、歯周炎の成り立ちに関与する細胞を明らかにするため、シングルセルRNA-seq 解析をおこなうこととして準備を重ねてきた。しかし研究倫理申請の手続きなどに時間がかかり、今年度中に解析を行うことが出来なかった。
そこで、動物をもちいた実験の代替として、申請者らが確立した歯周炎患者由来の初代培養細胞から構築した「生体外歯周炎モデル」を用い、コラーゲン分解を指標に、VEGFR1の歯周炎への関与を検討した。特異的なVEGFR1キナーゼ阻害剤が存在しないことから、複数の阻害剤の効果を検討した。もっとも低濃度でコラーゲン分解阻害作用を示したVEGFR1/2とPDGFRを阻害するマルチキナーゼ阻害剤であるレゴラフェニブを用い、3症例に由来するPAFを培養したコラーゲンゲルのマイクロアレイ解析を行った。その結果、独立した3症例に共通して発現上昇した52遺伝子、発現低下した64遺伝子を同定した。それらの中には、細胞外マトリックスの構築や創傷治癒の制御に関わる遺伝子が多かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナ感染拡大による研究環境の制限および共同研究者が逝去したことから当初の研究計画を大きく見直した。
ヒト歯周炎由来細胞を用いたシングルセルRNA-seq解析を行い、歯周炎に罹患することで歯周組織に存在する細胞群にどのような変化が現れるかを検討する予定でいたが、研究倫理申請に時間がかかり、なかなか承認を得られなかったことで大幅に研究が遅れている。承認が得られる時期が不明だったため、動物実験の代替法である「生体外歯周炎モデル」を用い、入手可能な各種抗体・阻害剤を作用させてコラーゲン分解阻害効果を検証する実験を展開することで、臨床的意義を実証することとした。また、VEGFR1タンパク質およびVEGF中和抗体を「生体外歯周炎モデル」に作用させ、VEGFR1のコラーゲン分解への関与を確認した。その中で、すでに他の疾患の治療薬として認可されている、VEGFR1/2とPDGFRを阻害するマルチキナーゼ阻害剤であるレゴラフェニブが低濃度でコラーゲン分解阻害作用を示した。独立した3症例に由来するPAFを用いて「生体外歯周炎モデル」を構築し、コラーゲンゲルにレゴラフェニブを作用させてRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。3症例で共通して発現上昇・低下を示した遺伝子群を同定しており、これらの解析結果について論文執筆中である。

今後の研究の推進方策

VEGFR1/2とPDGFRを阻害するマルチキナーゼ阻害剤であるレゴラフェニブが低濃度でコラーゲン分解阻害作用を示した。3症例に由来するPAFを用いて「生体外歯周炎モデル」を構築し、コラーゲンゲルにレゴラフェニブを作用させてRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。独立した3症例で共通して発現上昇・低下を示した遺伝子群を同定した。これらには、細胞外マトリックスの調整や創傷治癒の制御に関与している遺伝子が多く含まれており、歯周炎の病態との関連性について検討を進めていく予定である。
現在は研究倫理申請が承認され、シングルセルRNA-seq 解析を依頼できる見込みがたち、準備を進めている段階である。シングルセルRNA-seq 解析結果をもとに歯周炎罹患歯肉に特異的に存在する細胞集団を見出し、歯周炎の発症機序ならびに歯周炎治療の標的となる分子の同定を目指している。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたシングルセルRNA-seq解析が、研究倫理申請の手続きなどに時間がかかり、今年度中に実施することが出来なかったため。
繰り越した予算は、シングルセルRNA-seq解析用サンプル作製のための試薬および解析費用に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Uppsala University(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Uppsala University
  • [国際共同研究] Charite- University Medicine Berlin(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Charite- University Medicine Berlin
  • [学会発表] ヒト歯周炎のin vitro実験モデルでの上皮-間葉相互作用における肝細胞増殖因子の役割2022

    • 著者名/発表者名
      山口洋子,齋藤朗,堀江真史,青木 章,Patrick Micke,Kai Kappert
    • 学会等名
      日本生化学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi