研究実績の概要 |
本研究では個体レベルでのCKAP4の機能をミトコンドリア代謝と神経変性疾患に注目して解明することを目的とする。令和3年度はCKAP4 KOマウスの加齢に伴う表現型を網羅的に解析するため、昨年度得た出生日の近いCKAP4 KOマウスと野生型マウスの経過観察を引き続き行った。生後一年を超え、野生型マウスで10%のマウスで白内障が観察されたのに対し、CKAP4 KOマウスで40%のマウスで白内障が観察された. 今後、更に一年半から二年間の長期間飼育を行っていく予定である。また、CKAP4がミトコンドリア代謝を制御するメカニズムを明らかにするため、野生型細胞とCKAP4 KO細胞におけるミトコンドリア呼吸に関連する遺伝子の発現量をウェスタンブロッティングにより比較したが、発現量に有意な差はなかった。引き続き、ミトコンドリア代謝に関わる遺伝子の発現量を野生型細胞とCKAP4 KO細胞で比較検討していく予定である。またミトコンドリア代謝が密接に関係する心臓機能におけるCKAP4の働きを明らかにするため、CKAP4 KOマウスと野生型マウスを使って左冠状動脈結紮による心筋梗塞モデルを作製していく予定である。最近、脂肪肝においてCKAP4の発現が低下し、肝細胞の小胞体の構造が異常になることが個体の代謝異常を引き起こすことが報告されたので(Parlakgul, et al., Nature 2022),CKAP4 KOマウスと野生型マウスに高脂肪食を一定期間投与し、空腹時血糖値の測定やインシュリン負荷テストを行う予定である。
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