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2020 年度 実施状況報告書

自閉症モデル動物の発病臨界期を制御する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07362
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

三好 悟一  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20519326)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード自閉スペクトラム症 / 抑制ニューロン / 皮質発達 / 脳波 / 興奮抑制バランス / FOXG1
研究実績の概要

発達期の自閉スペクトラム患者においてFOXG1転写因子の制御異常が示唆されており、またFOXG1変異により自閉症FOXG1症候群を発症することから、FOXG1は自閉スペクトラムの疾患解明や治療法開発の鍵になる因子と考えられる。近年、特発性の自閉スペクトラム患者から調製されたiPS細胞、脳オルガノイド実験系やゲノム解析から、FOXG1の制御異常が疾患中間表現型として報告された(Mariani et al., 2015 CellとWon et al., 2016 Nature)。FOXG1遺伝子変異によるコピー数の増加(遺伝子重複)・減少(点変異ハプロ不全)いずれも自閉症FOXG1症候群を発症することから、正常なFOXG1量が定型発達に必須である。
最先端の遺伝学手法を駆使し、マウスにおいてもヒトと同様にFoxG1増加・減少いずれのケースも自閉症様表現型である社会性行動の異常や、患者と同様のガンマ脳波減衰が再現されることを確認した。次に、特発性自閉スペクトラムへのFOXG1の関与を明らかにするため、時期特異的なFoxG1発現操作を発達期に実施した。そして、発症を左右する臨界期が生後2週目に形成され、この1週間の正常なFoxG1発現によって抑制回路の発達および社会性の形成が促進されることを明らかにした。実際、発症臨界期の抑制系への介入操作によって、自閉症モデル動物の表現型が正常化し治療回復することや、逆にさらなる悪化も可能であることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

正常マウスと、3種類の自閉症モデルマウス(FoxG1ヘテロ、ニューロンのみでFoxG1減少、ニューロンのみでFoxG1増加)を用いて、発病の臨界期である生後2週に共通してみられる遺伝子発現変化を細胞タイプごとに網羅的に解析する。FoxG1自閉症モデルでは、社会性行動に重要な前頭前皮質において(Yizhar et al., 2012 Nature 他多数)、発病臨界期に特化した興奮抑制バランスの異常が認められる。そこで、生後2週の前頭前皮質を単一細胞化、10xGenomicsシステムで細胞ごとのmRNAを個別バーコードラベルし、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子発現プロファイリングを実施する。正常とヘテロマウスから1万5千細胞ずつのデータを得ている。

今後の研究の推進方策

今後、残り2種類の病態モデルであるニューロンのみでFoxG1減少群や増加群でも同様の解析を実施し、細胞タイプごとの遺伝子発現プロファイルの相互相関を各モデル間で比較することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

技官の人件費を計上していた。マウス飼育の規模拡大の時期がずれこんだため、繰り越した研究費を使用して今年度に人件費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] FOXG1-dependent early juvenile critical period for autism-associated behavioral circuit2020

    • 著者名/発表者名
      Goichi Miyoshi
    • 学会等名
      FOXG1 Science Symposium 2020
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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