ステルスがん抗原を標的としたがん免疫療法が抗腫瘍効果を示すことを確認するために、マウスステルスがん抗原を標的としたマウスモデルの構築を行い、マウス移植腫瘍モデルを用いてマウスステルスがん抗原を標的とした治療スケジュールの設定を完了することができた。具体的には、DNAメチル化転移酵素阻害剤の投与量及びその間隔を検討し、腫瘍組織におけるステルスがん抗原の再発現量を維持しつつ、投与されたマウスの免疫細胞の活性化に影響を与えない最適なスケジュールを確定することができた。その確定された投与スケジュールをもとに樹状細胞療法の検討をおこなった。樹状細胞は骨髄細胞から単離したlineageマーカー陰性細胞をGM-CSF存在下で7日間培養することで誘導した。マウスにがん細胞株を皮内接種し、確定されたスケジュールに則ってDNAメチル化転移酵素阻害剤を腹腔内投与した。一部のマウスにはステルスがん抗原ペプチドを処理した樹状細胞を腫瘍組織近傍に皮下接種した。一週間に2回の頻度で腫瘍組織の長径と短径を測定し腫瘍の面積を記録した。その結果、DNAメチル化阻害剤とステルスがん抗原ペプチドを処理した樹状細胞の併用療法によって、腫瘍増殖速度が抑制されることを確認した。
ステルスがん抗原SPESP1に関する免疫原性及びDNAメチル化阻害剤処理した新鮮がん細胞における再発現に関する解析結果が学術雑誌に掲載された。また、ステルスがん抗原を標的としたT細胞活性化ペプチドは複数の国に特許申請中であるが、すでに日本を含めたいくつかの国で特許が認められた。
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