現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
濾胞性リンパ腫での微小環境の解明のため、腫瘍免疫関連蛋白を、濾胞内増殖域とびまん性殖域での比較、初発例と再発例間での比較、予後の解析を、初発 174症例、再発例 50例 でPD-1, PD-L1, PD-L2, Tim-3, Galectin9, CTLA-4, CD86, CD80, LAG3, OX40, OX40L, GITR, GITRL, CD137, CD137L の15蛋白で免疫染色を行った。1)腫瘍細胞や周囲間質組織のT細胞、マクロファージ、FDCの様々な細胞に発現が確認された。2) IgH-bcl2の融合、組織グレード、FLIPIに特徴的な関係性はみられなかった。3) miTim3(mi:腫瘍細胞ではなく背景)は初発例に比較して再発症例で有意に多く間質細胞での発現がみられ(p=0.0491)、LAG3は初発例に比較して再発症例で多く発現がみられる傾向にあった(p=0.0648)。4) 予後に差があるものもあった。特にmiOX40L低発現群が予後良好であった (.Hematol Oncol. 2022 Feb 4. doi: 10.1002/hon.2972t)。典型的なATLLにおいて、Don’t eat meシグナルのCD47のSIRPαの解析を行い、間質におけるSIRPα発現例は予後がよく、さらにSIRPα発現例は有意にMHC classⅠ、class Ⅱ、 miPD-L1を発現する確率が高かった。予後とSIRPαの間質での発現が腫瘍免疫を含む微小環境によって左右される可能性を報告しており(Hematol Oncol. 2020 Dec;38(5):680-688)、これらのことも考慮し、ホジキン様ATLLと古典的ホジキンリンパ腫に関しては、症例の確認は終了し、実験を開始している。
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