本研究では脳腫瘍、特に毛様細胞性星細胞腫および多形黄色星細胞腫を中心とした組織像と遺伝子の相関についての研究を進めた。 画像解析については、画像認識機械学習モデルの構築をすすめており、既存の症例について分類機の出力およびsemantic segmentationモデルによる領域の出力を行って最適化を進めた。画像解析機械学習モデルと臨床データとの統合については、その成果の一部を他領域に応用した研究として、第67回日本臨床検査医学会学術集会(2020年11月、盛岡市およびオンライン)にて発表した。また脳原発腫瘍の画像解析と遺伝子解析の統合については、その成果の一部を用いた共著論文がBrain Tumor Pathology誌(IF=2.348)にて掲載された。 研究開始後より、特にCOVID-19の感染対策として在宅勤務あるいは研究室の新規研究開始の抑制がされたこともあり、遺伝子解析が未検の既往症例について新規の解析が困難であったため既存の症例につき、先行して解析とモデルの最適化、および在宅勤務などでの研究体制の再構築にともない、オンラインでの研究遂行に必要な基盤の再構築を進めることとなった。 本研究の成果報告については、論文掲載は学会全体としてむしろ活性化しているが、2022年度末においてもCOVID-19について感染対策が継続しており、国内外の学会は渡航制限もありオンラインないしハイブリッド開催が主体となっていることを考慮し、引き続きモデル構築およびシステム強化を重点的に実施したうえで、症例の蓄積あるいは領域によらず現在および今後の研究を進める上での基盤を整備して成果を公表することとなった。
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