研究課題
アミロイドーシスは、アミロイド前駆蛋白質が不溶性のアミロイド線維を形成し、様々な臓器の細胞外間質に沈着し、臓器障害をきたす疾患群の総称である。アミロイド前駆蛋白質は現在30種類以上同定されているが、いずれも、アポリポ蛋白質が共沈着しているという共通した特徴を持っている。本研究はヒト検体を使った質量分析法によりProteomeとLipidomeの双方からアミロイド沈着機序の解明を目指すものである。1年目は過去40年の剖検症例をレビューし、組織標本が保存されていた40例のアミロイドーシス症例について、病理組織化学的検討を行った。代表的な心臓標本を中心に免疫組織化学的検討を行い、アミロイド病型診断を行った。免疫組織化学的に病型が確定できない症例が5例程度あり、これらに対しレーザーマイクロダイセクションと質量分析法を用いて、プロテオミクス解析を行った。これらの結果については、ケースレポートと原著論文にまとめている。また、2021年4月に行われる病理学会のワークショップにてこのデータの一部を発表する予定である。Lipidomeの解析については条件検討中である。
2: おおむね順調に進展している
職場の異動があったため、新しい職場で症例の抽出からやり直す形になったが、全体的な研究計画はおおむね順調に進展した。
今年度は抽出した症例に対し、イメージング質量分析法や電顕などを行って、アミロイド線維の形態学的な違いに注目して研究を行う予定である。脂質の解析も並行して試みる予定である。
今年度は緊急事態宣言下で国内外の移動に制限があり、予定していた研究の打ち合わせや学会報告ができなかったため、予算を次年度に持ち越す予定です。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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