アミロイドーシスはアミロイド前駆蛋白質が細胞外基質に沈着することで臓器障害を来す疾患である。アミロイド病型診断には免疫組織化学的検索に加え質量分析法を用いたプロテオーム解析が用いられる。研究期間中に報告した内容は以下の通りである。 1.日本医科大学付属病院で行われた剖検症例のうち全身性アミロイドーシス症例40例を抽出し、免疫組織化学とプロテオームを行い、その精度の比較検討を行った。その中で、トランスサイレチン(ATTR)と軽鎖(ALλ)の両方が同一臓器に沈着するアミロイドーシス症例を見出し、症例報告を行った。剖検例全体のまとめについては病理学会、アミロイドーシス学会、心筋生検研究会で報告し、現在は論文投稿中である。 2.以前より行っていたイメージング質量分析法についての論文が受理され、Serum Amyloid AのN末端がコンゴレッド陽性領域に特異的に分布していることを示した。 3.皮膚アミロイドでは40例以上の病理組織学的検討を行い、個細胞性壊死と真皮表皮境界部の炎症が非腫瘍性ケラチン型の皮膚限局性アミロイドーシスに特徴的であることをアミロイドーシス学会で示した。 4.腎臓のアミロイドーシスについては、アミロイド沈着の見られる糸球体のみを回収しプロテオーム解析を行うことで、SAPが病型にあたるアミロイド前駆蛋白質と正の相関がみられることを示し、共同研究に貢献することができた。 研究期間全体を通じて、Lipidomeの研究が遅れてしまったが、Proteome研究で皮膚や腎臓に関する研究を進めることができた。
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