研究実績の概要 |
Tumor spread through air spaces (STAS) は肺癌細胞の肺胞腔内への高悪性度な進展形式として申請者らが提唱した(Kadota et al. J Thorac Oncol 2015)。 STASを伴う肺癌は再発率が高く、予後因子としての重要性は多くの施設で確証され(Kadota et al. Am J Surg Pathol 2017, Am J Surg Pathol 2019)、WHO分類に記載された。しかし、STAS発生の生物学的メカニズムに関しては解明されていない。申請者らは、腫瘍の進展が腫瘍免疫により制御されていることを明らかにしてきた。FoxP3陽性制御性Tリンパ球の増加や腫瘍のIL-7R発現が、腫瘍促進性の免疫微小環境を形成し(Kadota et al. Oncoimmunology 2013, Chest2015, Suzuki, Kadota et al. J Clin Oncol 2013)、CD163陽性腫瘍関連マクロファージ/CD8陽性Tリンパ球比の増加が腫瘍の悪性度を高めることを解明した(Ujiie, Kadota el al. Oncoimmunology. 2015)。本研究課題では“STASの発生を促進する因子は何か”、“STAS発生の抑制には何か必要か”が学術的問いである。研究実績としては、腫瘍関連マクロファージや上皮間葉転換が、肺癌に特異的な進展パターンの増加に関連することを明らかにした(Ikeda et al.Lung Cancer 2021, Yoshida et al. Lung Cancer 2021)。
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