肺実質は肺胞内に含気腔が存在し、消化器系のように層構造が存在しないため、基底膜の破壊や深達度に基づく浸潤性の評価が困難である。よって、肺癌細胞の浸潤増殖パターンにより悪性度を評価することが重要である。我々は肺癌細胞が腫瘍辺縁を超える肺胞腔に進展する所見をTumor spread through air spaces (STAS) として提唱し、STASはWHO分類第4版で肺癌細胞の進展形式の1つとして記載された。STAS発生機構の解明に繋がる研究成果として、上皮間葉転換誘導や腫瘍関連マクロファージがSTASの発生に関連する可能性を報告し、癌細胞の進展を制御する研究への糸口となった。
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