研究課題/領域番号 |
20K07396
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
百瀬 修二 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70360344)
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研究分担者 |
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60239605)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Burkitt / DLBCL / lymphoma / MYC / BCL2 / HGBL |
研究実績の概要 |
本研究は悪性度の高いリンパ腫の一亜型である〝高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)″をFISH法を用いずに抽出方法を見出すものである。現在、HGBLは大型のリンパ腫細胞が増殖するすべての症例が鑑別対象になっているが、FISHで少なくともMYCの検索は必須となっている。さらにMYCに転座を有する場合、BCL2, BCL6の追加検討が必要であり、FISH検索ができずに暫定的な診断にとどまっている場合が多い。本研究ではこうした病理診断的問題点を解決すべく、免疫染色でのあらたな検索法の開発を試みた。 令和3年度は、本院のde novo DLBCL 300例弱を中心に解析を行った。これらのHansの分類による亜型分類(COO分類; GCB, non-GCB)を終了した(GCB 47%, non-GCB 53%)。さらにこれらのFISH検索の結果、MYC-BAPにてbreakが見られた症例は7.7%で、COO別ではGCB typeが14.4%、non-GCB typeでは1.7%と有意にGCB typeにMYC breakが認められた。BCL2 break は全体の17.7%にみられ、GCB typeの25.5%、non-GCB typeの2.6%と有意にGCB typeで多かった。一方、BCL6-BAPでは、全症例の17.0%にbreakがみられ、GCB typeの16.3%、non-GCB typeの16.7%と両COOに有意な差はみられなかった。またMYCおよびBCL2/BCL6にbreakを有するいわゆるdouble/triple hit(DH/TH)は全体の4.3%で、COO別ではGCB typeの8.5%、non-GCB typeの0.6%とDH/TH eventがGCB typeで有意なイベントであった。こうしたことを踏まえ、現在着目している分子AについてもCOOやDH/THとの関連について検討した。その結果、分子AはGCB typeで有意に高い発現がみられ、発現レベルも分子Aの発現のみられる症例の多くは70%以上で、簡便に評価できるマーカーであると考えられた。一方、陰性例の大部分はまったく染まらない症例群であった。予後との関連も、Hans分類、MYC, 分子Aを組み合わせることで、予後不良群を抽出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一部、コロナ禍による消耗品(PCR関連)の納入が遅れたため
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和4年度は、FISHの結果とともに、免疫染色および臨床情報を踏まえて、高悪性度B細胞リンパ腫の免疫組織化学的抽出法を詰めていく予定である。分子Aとともに、分子Bをあらたに加えた抽出法も新たに検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による物品の納品の遅れならびに業務制限によるため遅延が生じた
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