本研究の目的は、腫瘍細胞における免疫チェックポイント分子の①発現上昇をきたす遺伝子構造異常、②スプライシング異常の検出法を確立し、臨床応用する、ことである。数種の免疫チェックポイント阻害薬が様々ながん種で臨床応用されているが、治療効果の高い症例に対し適切に行うための有効な治療効果マーカーやその診断法は確立されていない。構造異常に伴うprogramed cell death-ligand (PD-L) 1遺伝子の3´非翻訳領域の変異がPD-L1の高発現のメカニズムの一つとして明らかにされ、その異常はバイオマーカーとして期待されている。遺伝子異常の他、数種の分泌型PD-L1スプライシングバリアントが報告されており、それらも治療効果に関与している可能性がある。免疫チェックポイント分子高発現をきたす構造異常やスプライシング異常の検出法を確立し、治療効果との関連を検証する。 抗PD-L1抗体で治療された頭頚部癌症例において、抗PD-L1抗体薬の治療効果とPD-L1の発現や臨床的因子との関連を検討した。また、頭頚部癌の抗PD-L1抗体治療例にCD4やCD8、PD-1などの染色を行った。頭頚部癌の抗PD-L1抗体治療例を追加し、免疫染色によるPD-L1、PD-L2発現の評価(腫瘍細胞や免疫細胞など)、FISHでのPD-L1/PD-L2遺伝子領域のゲノム構造異常の検索を行った。肺癌に対し、免疫染色を用いてPD-L1のスプライシングバリアントの検索、評価を行った。
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