研究課題/領域番号 |
20K07401
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
関根 茂樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (10321879)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 十二指腸 / 発癌過程 |
研究実績の概要 |
非乳頭部十二指腸の発癌における腺腫の役割を明らかにするため、144病変の十二指腸腺腫、54病変の十二指腸癌を対象として、免疫染色による形質発現解析、ミスマッチ修復タンパク発現解析および次世代シークエンサーによる遺伝子変異解析を行った.APC変異集積領域の変異は腺腫において高頻度である一方(85%)、腺癌では低頻度であった(9%)。腺腫は形態的に腸型腺腫(86%)、幽門腺腺腫(7%)、胃型腺腫NOS(6%)、腺窩上皮型腺腫(1%)に分類した。サブタイプごとの解析では腸型腺腫が最も高頻度にAPC変異を有していたが(89%)、幽門腺腺腫(70%)、その他の胃型腺腫でも認められた(56%)。腺腫と腺癌におけるAPC変異頻度の違いは、APC変異を有する腺腫が腺癌への進展リスクが低い病変であることを示唆すると考えられた。腫瘍の形質発現の相関の検討からは、腺腫、腺癌のいずれにおいてもGNAS変異がMUC5AC発現を示す病変に高頻度に認められることから、胃型形質を示す腫瘍に特徴的な分子異常であると考えられた。ミスマッチ修復異常は腺腫では1病変のみで見られたが(1%)、腺癌では20%に認められた。ミスマッチ修復異常は十二指腸癌に高頻度に認められ、治療選択の観点からもその検索が臨床的に重要であると考えられる。ミスマッチ修復異常を示す症例の半数異常はリンチ症候群の診断がついている、もしくはベセスダ基準を満たしており、リンチ症候群関連腫瘍としての十二指腸癌の重要性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十二指腸腺腫および腺癌の分子生物学的解析を行い、その結果を論文発表した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、十二指腸腫瘍および非腫瘍性病変の臨床病理学的、分子生物学的解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想以上に分子生物学的解析に用いる試薬の在庫があったため、次年度進める解析に充当することとした。
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