研究実績の概要 |
昨年度までに実施した腺腫性病変および腺癌の免疫組織学的および分子生物学的解析結果に基づいて、これまで類型化がされていないが、類型化が可能と考えられる腫瘍について、より詳細な解析を進めている。これまでに収集した症例では症例数、および核酸の質の観点からより詳細な解析には不十分と考えられたことから、解析対象症例を増やすために、多数症例を対象とした組織学的な見直しを行なっている。さらに、これらの腫瘍に関して免疫組織化学的な検討を加え、その特徴を明らかにしつつある。また、これまで行った遺伝子変異解析に加えて、さらに解析対象をより広げた解析を行うための条件検討を進めている。 すでに報告した、また、その後追加して行なった遺伝子変異解析をもとにして、GNAS, APCを含む、いくつかの遺伝子変異にに対応する免疫組織学的な特徴を明らかにするため、複数の抗体を用いた解析を行なっている。 また、十二指腸腺癌の20%程度にマイクロサテライト不安定性が見られることとともに、これらにはリンチ症候群に伴う腫瘍が比較的多く含まれることを報告してきた。一方、散発性マイクロサテライト不安定性腫瘍も一定程度認められることから、リンチ症候群に伴う腫瘍と、散発性腫瘍それぞれの特徴を明らかにするための解析を進めている。さらに、リンチ症候群に伴う、胃癌、大腸癌などの他の消化管腫瘍と比較を行うことで、十二指腸腫瘍の特徴を明らかにするための解析を行なっている。
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