144病変の十二指腸腺腫、54病変の十二指腸癌を対象として、形質発現、ミスマッチ修復異常および遺伝子変異の解析を行った。APC変異が腺腫で高頻度である一方(85%)、 腺癌では低頻度であったことから(9%)、臨床的に治療対象となっている十二指腸腺腫の多くは浸潤癌への進展リスクが低い病変であると考えられた。腺腫では組織学的亜型ごとに特徴的な遺伝子変異が認められ、形態的分類の妥当性が示された。腺腫、腺癌のいずれにおいてもGNAS変異が胃型形質を示す腫瘍に特徴的な分子異常であると考えられた。ミスマッチ修復異常は十二指腸癌に高頻度に認められ、治療選択の観点からもその検索の臨床的重要性が示唆された。
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