研究課題/領域番号 |
20K07403
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牛久 綾 (篠崎綾) 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60581824)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EBウイルス / microRNA / リンパ増殖性疾患 / 悪性リンパ腫 |
研究実績の概要 |
本研究ではEBウイルス関連リンパ増殖性疾患の病態を解明すべく、ウイルスあるいはヒト由来のmicroRNAに着目した解析を行っている。先行研究において、東京大学医学部附属病院にアーカイブされている病理組織検体を検索し、約300例のEBウイルス関連悪性リンパ腫およびリンパ増殖性疾患を抽出した。さらにそのうちの約40例について44種類のEBウイルス由来microRNAの発現を網羅的に解析した。令和3年度は、令和2年度に続き、EBウイルス感染腫瘍細胞における免疫回避機構の解明を目的とした研究を実施した。免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1に着目し、その発現とEBウイルス側の要因(潜伏感染遺伝子の発現など)との関連を解析した。まず、EBウイルス由来のRNAであるEBERに対するプローブを用いたin situ hybridization(ISH)および潜伏感染遺伝子やPD-L1の発現を単一の抗体を用いた免疫染色で検討した後、これらの発現の関連をより詳細に検討するため、同一切片で複数の免疫染色とISHを同時に行う多重染色法を実施した。これにより、細胞単位での特定のEBウイルス潜伏感染遺伝子とPD-L1の発現に相関が見られることを明らかにし、さらにこれらの細胞が特徴的な細胞形態を呈していることを見いだした。次年度はEBウイルス由来 microRNAと潜伏感染遺伝子、PD-L1との関連を解明すべく、microRNAのISH法の開発と臨床検体を用いた多重染色の検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID19流行に伴う実験試薬等の調達遅延等あり、研究の遂行がやや滞った時期もあったが、全体としては概ね順調に実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で明らかになった特定のEBウイルス潜伏感染遺伝子とEBウイルス由来microRNA、PD-L1の発現との関連について、より詳細な発現制御機構について検討を進める予定である。特に臨床検体を用いたEBウイルス由来microRNAのISH法による検出を安定的に可能にする系を開発し、ヒト組織でのEBウイルスmicroRNAの意義を解明することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では今年度に学会参加のための旅費を計上していたが、オンライン開催に変更となった学会が多く、予定していた支出を下回ったため。次年度繰り越し分は旅費および実験試薬等の物品費に充てる予定である。
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