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2020 年度 実施状況報告書

嫌色素性腎細胞癌の臨床病理・分子統合的新規グレード分類の提案と治療戦略への展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K07404
研究機関新潟大学

研究代表者

大橋 瑠子  新潟大学, 医歯学系, 助教 (20447600)

研究分担者 味岡 洋一  新潟大学, 医歯学系, 教授 (80222610)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腎細胞癌 / 嫌色素性腎細胞癌 / 予後 / リスク分類 / コピー数異常
研究実績の概要

1) 本研究開始以前に我々は病理組織学的な壊死もしくは肉腫様分化の存在に基づく新規2段階式病理学的グレード分類を提唱し、この分類が全生存率 (overall survival)と無増悪期間 (Time to Progression; TTP) につき日本も含めグローバルに適用可能かつ再現性の高い有用な分類であることを実証した (Virchows Arch, 476, 409-418, 2020)。最近Mayo clinicのAvulovaらにより核の密集、核異型、壊死、肉腫様分化を指標とした4段階グレード分類が提唱された (Eur Urol, 79, 225-231, 2021)。そこで自験例245例を用いてこの4段階分類の再現性を検討したところ単変量解析でTTPとCSS両者で分離不良で、我々の提唱した2段階式分類の方が有用である結果を得た。ただし症例数不足により多変量解析が行えず十分な事象の証明ができなかったので原著論文でなくLetter to the editorによる途中経過報告とした (Eur Urol. 2021, in press)。
2) 他癌腫で新規分子標的治療薬が国内承認され、嫌色素性腎細胞癌の予後不良群で高発現し新規治療標的となる可能性のある遺伝子Aを公共データベースThe Cancer Genome Atlas (TCGA) を利用したバイオインフォマティクスアプローチにより同定した。TCGAに収載の嫌色素性腎細胞癌ではmRNA発現量と遺伝子座のコピー数との間に有意な相関があった。またmRNA高発現群と遺伝子コピー数増加群はmRNA低発現群、遺伝子コピー数非増加群と比較して有意に予後不良であった。自験例の病理組織を用いて免疫組織化学を施行したところ、肉腫様分化の領域でびまん性強陽性を示すことがわかった。自験例でmRNA発現量とコピー数の解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度予算の金額上、アレイCGH法による網羅的遺伝子コピー数解析を行えるだけの予算に足りなかったので解析を見送り予算の範囲で施行可能な解析内容に方向転換した。さらにコロナ禍による県を跨いだ移動の制限や海外渡航禁止、研究補助人員の配分の制限、研究用試薬物品の欠品等により、症例情報収集や国内外の研究協力者との顕微鏡同時鏡検下ディスカッション、コンセンサスミーティングおよび必要な実験が十分にできなかったことが要因で、当初の計画に遅延が生じている。

今後の研究の推進方策

バイオインフォマティクスアプローチによる工夫を行うことでリスク遺伝子候補を絞りこむことができたので高価なアレイCGH法の代わりにより安価にコピー数解析が可能な手法であるFISH法での解析を進めている。アレイCGHに使用しなかった分の予算でmRNA発現量につき網羅的トランスクリプトーム解析を行うことで次なる治療ターゲットとなりうる分子マーカーの探索を目指す。
コロナ禍が収束しない限り研究遂行の遅延は不可避であるが、収集済の自験例で施行可能な範囲で新規治療標的となる可能性のある遺伝子に関する解析を進めている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University Hospital Zurich(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      University Hospital Zurich
  • [国際共同研究] University Hospital Erlangen/Technical University Munich(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      University Hospital Erlangen/Technical University Munich
  • [国際共同研究] University of Verona/Pederzoli Hospital(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      University of Verona/Pederzoli Hospital
  • [雑誌論文] Re: Svetlana Avulova, John C. Cheville, Christine M. Lohse, et al. Grading Chromophobe Renal Cell Carcinoma: Evidence for a Four-tiered Classification Incorporating Coagulative Tumor Necrosis. Eur Urol 2021;79:225?312021

    • 著者名/発表者名
      Ohashi Riuko、Hartmann Arndt、Martignoni Guido、Moch Holger
    • 雑誌名

      European Urology

      巻: 80 ページ: e17~e18

    • DOI

      10.1016/j.eururo.2021.03.025

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Prognostic impact of rhabdoid differentiation incorporated in a novel two-tiered grading system for chromophobe renal cell carcinoma2020

    • 著者名/発表者名
      Riuko Ohashi, Kaori Takamura, Chisato Ohe, Hiroshi Kobayashi, Peter Schraml, Niels J. Rupp, Naoto Kuroda, Toyonori Tsuzuki, Yoichi Ajioka and Holger Moch
    • 学会等名
      32nd Congress of the European Society of Pathology
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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