研究実績の概要 |
キャッスルマン病は、1954年、マサチューセッツ総合病院の病理医であるDr. Benjamin Castlemanが、縦隔に限局した巨大腫瘤の1例を報告したことに始まる。これがキャッスルマン病の原型であり、現在は硝子血管型(hyaline-vascular type, HV type)と呼ばれている。1970年にFlendrigがキャッスルマン病の新たな亜型として形質細胞型(plasma cell type, PC type)の存在を報告した。これらはいずれも限局性病変であり、unicentric Castleman disease(UCD)とよばれている。1983年にFrizzeraらが、病理学的にPC type UCDに類似していながら、多発病変を形成し、臨床的にも発熱、盗汗、体重減少などの強い全身症状を伴った15例を報告し、multicentric Castleman disease(MCD)と呼ばれるようになった。後にMCDはKSHV/HHV8関連MCDとKSHV/HHV8に関連しないidiopathic multicentric Castleman disease(iMCD)に大別されるようになった。しかしながら、iMCDは未だ病態形成メカニズムが不明であり、病理学的にiMCDと診断された症例であっても治療反応性や臨床経過が異なっており、非常にヘテロな疾患単位となっている。我々は、このiMCDの明確な診断基準となり得るバイオマーカーを見出すべくRNA-seqによる解析を行った。その結果、iMCDは遺伝子発現パターンにより2群に分類されることが明らかとなった。また、IL-6免疫染色において、蛋白発現群と非発現群の2群に大別され、IL-6阻害剤の治療反応性が異なることも明らかとなった。
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