特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)は難病指定を受けた疾患で、臨床的にiMCD-NOSとiMCD-TAFROの2群に分類されていた。しかしiMCD-NOSは非常にヘテロな疾患であり再編する必要があることからiMCD-NOSの臨床病理学的に解析を行った。その結果、IPLといわれる日本人に多いタイプは臨床的および病理学的に均一な疾患群であり、またtocilizumabが奏功することを証明し論文化した(PMID: 36142213)。すなわちIPLは病態形成メカニズムも均一な疾患であることが示された。この結果を踏まえ、2022年12月に開催された国際コンセンサス会議において、これまで2群に分類されていたiMCDにiMCD-IPLが新たに加わり、3群に分類されることとなった。くわえて、非特異的リンパ節過形成をコントロール群とし、iMCD-IPL、iMCD-NOSおよびiMCD-TAFROの3群のリンパ節凍結材料をもちいて、診断バイオマーカーおよび治療標的分子を見出す目的でRNA-seqを行った。その結果、iMCD-IPLでは非常に均一な遺伝子発現パターンを示し、前述した先行研究と同じ結果となった。その遺伝子群からさらに均一な遺伝子108個を抽出し、今後はFFPE組織をもちいてnCounterによる多数例でのvalidation studyを行う予定である。一方、iMCD-NOSおよびiMCD-TAFROは2群が融合したような遺伝子発現パターンとなっていた。臨床的には2群に分類されているが、われわれのこれまでの調査で、自己抗体が陽性となる、胸腹水の貯留がみられる、血小板減少がみられる、など共通する部分もあり、さらなる検討が必要であると考えられた。
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