研究課題
大腸癌手術症270例より作成した腫瘍組織アレイを用いて、collagen、間質におけるaSMA, podoplanin, FAP, desmin, decorinの免疫染色を行った。これらの組織標本をスライドスキャナにて画像化し、ImageJにて、陽性領域を計測した。各染色性と、患者予後との関連を統計学的に解析したが、予後予測モデルを確立することは困難であると考えられた。しかしながら、5種類の染色結果を用いたクラスター解析を行ったところ、腫瘍細胞割合の高い症例、腫瘍間質におけるpodoplanin発現の高い症例、decorin発現の高い症例の順に患者予後が悪いことを見出した。一方で、大腸癌間質におけるperiostin発現を免疫組織学的に解析したところ、periostin高発現を示す大腸癌は有意に予後が悪く、そのメカニズムとしてperiostinによる大腸癌細胞、間質細胞の遊走能・細胞増殖能の制御による可能性を明らかにし、報告した(Cancers 2023, 15(3):606)。また、大腸癌腫瘍間質におけるCD70、およびperiostin発現状況によって患者予後を解析したところ、CD70とperiostinを同時に発現している患者の予後が有意に悪いことを見出し、現在、そのメカニズムを分子生物学的に解析している。胸膜中皮腫細胞におけるCD70発現は、PD-L1と協調して腫瘍細胞の浸潤・遊走能、細胞増殖能を制御することで、患者予後を悪化させている可能性を明らかにした(J Pathol Clin Res. 2023 9(3):195-207)。
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Cancers (Basel).
巻: 15(3) ページ: 606
10.3390/cancers15030606.
J Pathol Clin Res.
巻: 9(3) ページ: 195-207
10.1002/cjp2.310. Epub 2023 Feb 8.