研究実績の概要 |
我々は分化型粘膜内腫瘍の組織型を腸型、胃型、分類困難型(特殊型)に類型化し、これらの粘膜内癌の組織型に基づいたオミックス解析による分子プロファイルを明らかにする (Sugai T, et al. Gastric Cancer. 2018;21:765-7). 腸型は低グレード上皮内型、高グレード上皮内型、粘膜内浸潤癌(粘膜内癌)に分類できるが、前二者は互いに独立した組織型であることを示した (Sugai T, et al. Gastric Cancer. 2017;20:286-29; Sugimoto R, Sugai T, et al. Int J Cancer. 2016;138:1689-97). 更に粘膜内癌は高グレード上皮内型より進展することを示す. 胃型は腺窩上皮型、幽門腺型、胃底腺型に分類できるが、特に腺窩上皮型の分子プロファイルを明らかにした (Sugai T, et al. Virchows Arch. 2020;477:835-844). 特殊型では手繋ぎ型が代表的であるが、独立した分子病型であることを示した (Fujita Y, Sugai T, et al. Diagn Pathol. 2020;15:111). 粘膜下層浸潤についても同様の解析を行い各粘膜内癌との関係性を明らかにし、新しい胃癌の分子腫瘍発生仮説の確立を目指す.
|
今後の研究の推進方策 |
胃粘膜内癌のサンプルを集積してマルチオミックス解析を行う。新鮮組織サンプルからDNA, RNAを抽出し、マイクロサテライト解析 (MS解析)とマルチオミックス解析を行う. DNA抽出サンプルからはMS解析、コピー数変化 (CytoScan 750K Array)、DNAメチル化 (HumanMethylation BeadChip)、NGS (next generation sequence; Illumina, MiSec)を用いた変異解析を行い、RNA抽出サンプルからはmicro RNA (GeneChp miRNA 4.0)及びmessenger RNA (Clariom S Human Array)発現解析を行う. 遺伝子パネルは29遺伝子のパネルを作製した。これらの多くは既に大腸腫瘍を用いて本研究室で独自に行っており、その解析手法に不安はない.
|