研究実績の概要 |
経時的に2回以上のリンパ節もしくは腫瘍生検が行われた、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)23症例、46検体について、それぞれの病理検体(Formalin-fixed paraffin-embedded tissue, FFPE)の薄切切片からDNAを抽出し、免疫グロブリン重鎖遺伝子(Immunoglobulin heavy chain gene, IGH)のPCR増幅とSanger sequenceに行い、IGH可変領域(IGHV)およびIGH-CDR3領域の解析を行い、経時的に行われたDLBCLのB細胞クローンが同一であるもの(真のDLBCL再発)9例、異なるもの(真の再発ではない新規DLBCL発生)12例、比較できなかったもの3例であった。 全サンプルのFFPEからRNAを抽出し、730遺伝子を網羅するnCounter pan Cancer immune profiling panelを用いて、Gene expression profiling(GEP)を行った。全サンプルの解析では、Volcano plots法を用いると、初発サンプルで、ATG16L1, ATM, MAP2K2, TGFB1, CCR7, CD5, TCF7, IKBKG, PIN1, IRF3が有意に高く、再発サンプルで、CCL27, YTHDF2, MAPK8, PSMB7が優位に高かった。また、初発と再発で同じB細胞クローンと同定できた9例の解析では、初発サンプルで、ATM, BIRC5が優位に高く、再発サンプルで、ATF2を始めとする14遺伝子が高かった。全サンプル解析と共通の遺伝子はなく、同じクローンが再発するときに特徴的な遺伝子発現パターンを見出したと考える。今後、さらに詳細な検討を加える。
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