研究課題
唾液腺導管癌(SDC)は、悪性度の高い希少癌であるが標準的薬物療法は確立されていない。我々はアンドロゲン遮断療法(抗AR療法)と抗HER2療法の2つの新規治療法を施行し、高い奏効率を得た。しかし、これらの治療効果予測因子は明らかになっていなかった。一方、癌の進展や免疫チェックポイント阻害(ICI)療法の治療効果予測因子として注目されている癌免疫微小環境についても、本腫瘍では不明であった。まず、治療効果予測因子の検索のため、EZH2に着目して免疫染色を行った。抗AR療法群ではEZH2高発現症例のOS・PFSが有意に短く臨床的有用率・奏功率も低く、EZH2高発現は抗AR療法の効果不良予測因子であることが示された。次に、癌免疫微小環境の解析のために、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD8、FOXP3などに対する免疫染色を施行したところ、PD-L1 CPS 1以上群、CD8高値群、およびCTLA-4高値群は、臨床病理学的な高悪性度と有意な関連が認められた。最後に最終年度に、SDC症例における癌組織内の自律神経と予後を含む臨床病理学的因子との関係を検討した。129例のSDC症例に対して、交感神経マーカーのTHと副交感神経マーカーのVAChTの免疫染色を行ったところ、92例で交感神経または副交感神経が同定された。 更に66例では交感神経・副交感神経が共にみられ、そのうち59例で同一神経におけるTHとVAChTの陽性像が認められた。自律神経の存在は予後不良因子であり、交感神経・副交感神経が共に存在した症例でより予後不良であることが明らかになった。以上の研究成果は、抗AR療法や抗HER2療法、ICI療法、自律神経を標的とした治療法などを含むSDCに対する治療戦略を確立する上での重要な基礎的データになり得ると考えられる。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (23件) (うち国際共著 4件、 査読あり 23件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
American Journal of Ophthalmology
巻: 249 ページ: 49~56
10.1016/j.ajo.2022.12.001
J Oral Maxillofac Surg, Med, Pathol
巻: 35 ページ: 258~263
Asian Journal of Endoscopic Surgery
巻: - ページ: -
10.1111/ases.13160
Modern Pathology
巻: 35 ページ: 533~538
10.1038/s41379-021-00955-y
Pathology International
巻: 72 ページ: 371~375
10.1111/pin.13236
Head and Neck Pathology
巻: 16 ページ: 1114~1123
10.1007/s12105-022-01471-4
Virchows Archiv
巻: 481 ページ: 295~305
10.1007/s00428-022-03327-2
Journal of Oral Pathology & Medicine
巻: 51 ページ: 710~720
10.1111/jop.13336
Therapeutic Advances in Medical Oncology
巻: 14 ページ: -
10.1177/17588359221119538
International Journal of Clinical Oncology
巻: 27 ページ: 1570~1579
10.1007/s10147-022-02209-6
The American Journal of Dermatopathology
巻: 44 ページ: 718~727
10.1097/DAD.0000000000002229
Frontiers in Surgery
巻: 9 ページ: 1049116
10.3389/fsurg.2022.1049116
npj Precision Oncology
巻: 6 ページ: 82
10.1038/s41698-022-00324-1
In Vivo
巻: 36 ページ: 2840~2843
10.21873/invivo.13023
Angiogenesis
巻: 26 ページ: 37~52
10.1007/s10456-022-09846-5
Hepatology Research
巻: 53 ページ: 247~257
10.1111/hepr.13856
耳鼻咽喉科
巻: 1 ページ: 615~623
病理と臨床
巻: 40 ページ: 591~594
巻: 40 ページ: 940~944
診断病理
巻: 39 ページ: 273~281
日本臨床細胞学会雑誌
巻: 61 ページ: 431~437
日本透析医学会雑誌
巻: 56 ページ: 63~68
European Archives of Oto-Rhino-Laryngology
巻: 279 ページ: 3131~3137
10.1007/s00405-021-07147-z