p62は見かけ上細胞質に局在しているように染色されるが、実質は核-細胞質間を常時行き来(シャ トリング)しているタン パク質である。 本研究では、p62の核―細胞質間シャトリングの仕組みと生理的意義を解明すること目的に、CRISPR/Cas9システムにより、核移行シグナル(NLS)、核外排出シグナル(NES)をそれぞれ欠失したp62遺伝子変異マウス(それぞれdNLS、dNESマウス)の作製を試みた。その結果、どちらも目的通りの変異を持つF0マウスを得ることに成功した。それぞれ、ヘテロ接合体の交配により、ホモ接合体を得ることができた。dNLSマウスは今年度の飼育期間において大きな外見上の変化は認められなかったが、dNESホモ接合体マウスは生後8週齢以内に全ての個体が死亡した。解剖および血液生化学検査の結果、離乳直後より重度の腎機能障害が引き起こされていることが示され、これにより死に至っていることが予想された。
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