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2020 年度 実施状況報告書

CaMK2β変異が引き起こす神経発達障害の疾患メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07423
研究機関浜松医科大学

研究代表者

武藤 弘樹  浜松医科大学, 医学部, 助教 (60443040)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードCaMK2β / ヒト疾患モデル動物 / 脳波異常 / 興奮性/抑制性のバランス
研究実績の概要

神経発達障害患者の遺伝子解析よりCaMK2βのP213L変異が同定され、同様な変異を導入したCaMK2β_P213L変異マウスを用い、その遺伝子変異と病態の関係性をさらに調べた。CaMK2β_P213L変異マウスは、小脳性失調、発達遅滞、発育不良などを示し、さらに特徴的な脳波異常があることが判明している。CaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常は、通常覚醒状態に一過性でなく持続的に記録され、特異的なピーク(20~40Hz)を示す。この脳波異常の性質を調べるためGABAA受容体の阻害剤ペンチレンテトラゾール(PTZ)を腹腔内投与すると、ピークの低周波数シフトを伴う脳波異常の増強が見られた。
さらなる病態メカニズム解明のため昨年度は、GABAA受容体の活性化を増強させるジアゼパム、イソフルラン、バルプロ酸を低濃度投与した。どの薬品も投与後数分でCaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常を消失させた。バルプロ酸においては、濃度に依存した作用も確認された。イソフルランは麻酔薬であるが低濃度で使用しているため、マウスの自発性行動や外部刺激に対する応答反応も正常にみられているため、麻酔効果による脳波異常の消失ではないことが確認された。
GABA作用の増強によりCaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常が減少または消失するため、当初の予測通りGABA伝達系の脆弱化によるものであるとさらに立証された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

さらなる病態メカニズム解明のため本年度は、GABAA受容体の活性化を増強させるジアゼパム、イソフルラン、バルプロ酸を低濃度投与した。どの薬品も投与後数分でCaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常を消失させた。バルプロ酸においては、濃度に依存した作用も確認された。イソフルランは麻酔薬であるが低濃度で使用しているため、マウスの自発性行動や外部刺激に対する応答反応も正常にみられているため、麻酔効果による脳波異常の消失ではないことが確認された。GABA作用の増強によりCaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常が減少または消失するため、当初の予測通りGABA伝達系の脆弱化によるものであるとさらに立証された。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究成果により、CaMK2β_P213L変異マウスが生じる脳波異常は、GABA伝達系の脆弱化により過剰興奮状態にあると実証された。
さらなる機能解析により、CaMK2β_P213L変異マウスは神経細胞内CaMK2βの減少を生じている可能性が示唆された。今後、CaMK2βのWesten BlotやmRNAを定量的解析することで、病態との関りを調べる。また、CaMK2β_P213L変異マウスにおける胎仔期の神経移動を子宮内電気穿孔法を用いて調べることで、発達期の異常と脳波異常の関係性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

使用した薬品など、すでに研究室で所有していたものを使用できたため。また実験計画に合わせ機器の購入を次年度に遅らせたため。

今後の研究計画に必要な子宮内電気穿孔法に用いるベクター作製や新たな脳波または電気生理システムの購入にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ATP6V0A1 encoding the a1-subunit of the V0 domain of vacuolar H+-ATPases is essential for brain development in humans and mice2021

    • 著者名/発表者名
      Aoto Kazushi、Kato Mitsuhiro、Akita Tenpei、Nakashima Mitsuko、Mutoh Hiroki、Saitsu Hirotomo
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22389-5

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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