研究課題/領域番号 |
20K07427
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
新倉 雄一 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (10615107)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卵巣 / 生殖細胞 / Stra8 / 再生 / 転写因子 / 老化 |
研究実績の概要 |
本研究では、卵巣の機能再生の鍵を握る転写因子Stra8の機能解析を行っている。Stra8の転写活性は生殖細胞に特異的であることから、その転写活性化能を制御する分子が存在すると推測されている。そこで、Stra8制御分子の同定を目指し、Stra8転写活性化ドメインに結合するタンパク質を、TurboIDシステムによる「近位依存性標識法」にて網羅的にビオチン標識してストレプトアビジンビーズによる単離を行うことにした。 初年度は、Stra8転写活性化ドメイン(その他、DNA結合ドメインや機能未知のグルタミン酸リッチドメインも同様)にTurboID(変異型ビオチン化酵素)を融合させた人工タンパク質を産生するベクターを構築した。 それと並行して、Stra8の転写機能の変化を蛍光タンパク質GFPの発現にて検出するためのシステムを構築した。現時点では、生殖細胞系F9においてStra8の転写活性化能を示すGFPの発現誘導を蛍光として検出することに成功している。なお、体細胞系NIH3T3ではGFPの蛍光は一切認められない。そのため、生殖細胞特異的なStra8の転写活性を、細胞を生かしたままで検出できるシステムである。このシステムをマウスに導入することで、いまだ発見されていない卵子幹細胞の探索および運命追跡が可能となり、加齢に伴うGFPの蛍光変化を観察することでStra8の機能発現と卵巣の恒常性維持、そして老化の関係性が明らかになると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はコロナ対応で大学への入校が制限されていた。研究活動は7月より解禁となりその分遅れが出てしまった。時間を要するシステム作りは年度内に完了したため、4月より生殖細胞系F9及び体細胞系NIH3T3にTurboID融合タンパク質を発現させて、ビオチン標識されたタンパク質を検出する作業を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
5月中にビオチン標識の条件検討を行い、6月中に生殖細胞特異的なStra8結合タンパク質を検出、質量分析によって網羅的に同定する予定である。同定されたタンパク質に対するsiRNAを合成し、生殖細胞特異的なStra8転写活性化能に及ぼす影響をin vitroで行う。このスクリーニングで同定されたStra8制御分子に対する遺伝子改変マウスを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Stra8活性化因子を同定するために質量分析解析を行っていたはずが、コロナ下の入構制限等の影響もあり初年度は実験系の確立で終わってしまった。その遅れ気味の実験を次年度早期に行う予定である。
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