本研究では,ヒト多発性硬化症(MS)の中枢神経系(CNS)病理像と同様にヘルパーT(Th)17細胞とCD8+T細胞の浸潤を伴うタイラーウイルス誘導性脳脊髄炎(TMEV-IDD)を用い,MS病態の解明を行った。Th17細胞を増強するとTMEV-IDDが軽減し,かつCD8+T細胞関連の遺伝子発現がCNS内で減少した。またこの一連の研究を通して,IgA抗体がCNS内に沈着しているのを見出した。近年、IgA産生B細胞の浸潤がMSでも報告されており,本成果からMS病態におけるTh17細胞-CD8+T細胞-IgA抗体による新規のコミュニケーションが明らかとなり,新たな治療法の開発へつながる可能性を示した。
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