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2020 年度 実施状況報告書

接着分子CADM1が基軸となる慢性腎臓病の尿細管間質病変形成

研究課題

研究課題/領域番号 20K07434
研究機関近畿大学

研究代表者

萩山 満  近畿大学, 医学部, 助教 (60632718)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード尿細管間質病変 / 接着分子 / 細胞外断片 / ELISA
研究実績の概要

慢性腎臓病では尿細管上皮変性・炎症細胞浸潤・間質線維化より成る尿細管間質病変が生じ、その重篤化が不可逆的な腎機能障害を導くと認識されているが、本病態の分子機序解明は十分ではない。
先行研究において、慢性腎臓病では尿細管上皮のIgCAM型接着分子CADM1(cell adhesion molecule 1)の細胞外切断(shedding)が亢進し、上皮アポトーシスが誘導されることを見出した。
本研究課題では、sheddingによって産生されるCADM1細胞外断片(CADM1-NTF)に注目する。CADM1濃度を測定するサンドイッチELISAを構築し、腎生検を行う慢性腎臓患者から採尿し、尿中に放出されるCADM1-NTFを測定した。慢性腎臓病患者(n=127)の平均値は1,727 pg/mLで、35%の患者において正常上限値(362 pg/mL)を越える濃度が検出された。また慢性腎臓病では尿中CADM1-NTF濃度が高ければ高い程、尿細管間質病変の重篤度と糸球体濾過率(GFR)とがより強く逆相関することを明らかにした。腎生検病理像との比較により尿中CADM1-NTFが慢性腎臓病尿細管間質病変のバイオマーカーとなる可能性を示した。
次にCADM1-NTFが尿中だけではなく尿細管間質にも浸出し、慢性炎症を惹起するトリガー分子になると仮説し、分泌型CADM1-NTFトランスジェニックマウス(β-actin及びCADM1プロモーターを使用)を作製した。ELISAでも使用したCADM1細胞外領域を認識する単クローン抗体を用いて、マウス腎組織のCADM1免疫染色を行ったところ、尿細管間質中に局在するCADM1-NTFが検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

慢性腎臓病において、尿細管間質病変の重篤度と糸球体濾過率(GFR)とが強く逆相関するほどの尿中CADM1-NTF濃度が高い患者の割合は思った以上に低かった。そのためサンプルが思うように集まっていない。しかし、分泌型CADM1-NTFトランスジェニックマウスが予定よりも早く作製することができ、尿細管間質中に局在するCADM1-NTFが検出されたため。

今後の研究の推進方策

尿中CADM1-NTF濃度が高い慢性腎臓病患者の腎組織を集め、CADM1免疫染色を行い、間質中のNTF量をスコア化する。同時にCADM1 shedding率(CTF/全長型比;ウエスタン法で算出)、尿細管上皮変性・アポトーシス(TUNEL・ssDNA免疫染色)、及び間質病変の重篤度を解析し、間質NTF量との相関性を解析する。また間質病変はリンパ球浸潤と線維化を病理学的にスコア化する。
トランスジェニックマウスでは、腎部分切除などを行い、機能糸球体数を減少させて慢性腎障害を引き起こし、間質NTFと尿細管間質病変の相関を解析する。

次年度使用額が生じた理由

トミー社の遠心機本体(MDX-310)・ラックインローター(CA-300)ラック(AR015-24)一式を購入予定だったが、新型コロナの影響でメーカーに在庫がなく、次年度5月に変更になったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 腎尿細管間質病変の新規バイオマーカー接着分子CADM1(別名腫瘍抑制因子TSLC1)2020

    • 著者名/発表者名
      萩山満、木村竜一朗、伊藤彰彦
    • 学会等名
      第79回日本癌学会総会
  • [学会発表] 慢性腎臓病間質病変の新規バイオマーカー接着分子CADM12020

    • 著者名/発表者名
      萩山満、木村竜一朗、米重あづさ、伊藤彰彦
    • 学会等名
      第109回日本病理学会総会

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公開日: 2021-12-27  

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