研究課題/領域番号 |
20K07437
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研究機関 | 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
生田 統悟 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
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研究分担者 |
小池 学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 上席研究員(定常) (70280740)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Ah receptor / ileocecal junction / tumor formation / IL-1b / inflammation / LGR5 / organoid culture |
研究実績の概要 |
研究実績の概要 (最大800文字) 部位別遺伝子発現の特徴 AhRKOマウスに生じる腫瘍は回盲部に限局され、この部位の特殊性を示唆した。すでに我々はIL-1bおよびIL-6のシグナルを阻害すると腫瘍形成が抑制されることを見出しており、昨年度までに回盲部特異的なIL-1b発現の増加を観察している。今年度は継続してIL-1b発現を組織学的に検討した。10週齢AhRKOマウスの回盲部を採取し、ヘマトキシリンーエオシン(HE)染色、並びに抗IL-1b抗体による免疫染色をおこなった。HE染色では回腸―盲腸境界領域の上皮細胞に過形成がみられ、その盲腸側の組織では上皮細胞のダメージがみられた。この部位においてIL-1bの強い発色がみられた。これは、RT-PCRおよびimmunoblot の結果と一致した。これらより、回盲部腫瘍形成の初期過程で、IL-1b発現が亢進することが示された。
腸上皮幹細胞に生じる変化 LGR5発現細胞をGFPで標識したマウスを用いて、腸上皮のオルガノイド培養を実施した。生後4-7日目のマウスから盲腸から大腸までの組織を採取し、実体顕微鏡下で腸を切り開いて内容物をPBSで洗った。その後コラゲナーゼおよびディスパーぜを含む培養液で震盪し、沈殿物の全量をマトリゲル上に培養した。クリプト構造の一部は数日後にオルガノイド様の構造を呈し、また繊維芽細胞様の形態も認められた。4-5日おきに継代が可能であるが、この培養系を解析に用いるには、細胞増殖能の点で改善が必要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍形成に至る組織レベル、遺伝子レベルの変化については研究が進んだ一方、幹細胞レベルの解析やAhrリガンドによる腫瘍抑制効果の検討は進んでいない。よって、上記の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
AhRKOマウスの回盲部において、IL-1b 発現を誘導する因子を解析したい。また、organoid培養系を用いて、炎症性サイトカインが幹細胞に与える影響を調べる。さらに回盲部特異的に発現する遺伝子を解析し、AhRとの関連性を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿中の論文が年度内に受理されなかったため、この掲載費用として次年度に計上した。
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