ナノスーツ法を用いて唾液腺腫瘍、肺腫瘍における一次繊毛の電子顕微鏡像を取得することに世界で初めて成功した。両腫瘍とも、一次繊毛は特定の病理組織型のみで高頻度に認められた。また、一次繊毛陽性腫瘍には様々な特徴(一次繊毛が正常部より長い、転移先での一次繊毛の保持、SHHシグナル経路の活性化など)が認められた。さらに一次繊毛形成率は、それぞれ、TTBK2, HYLS1の発現と関連することも示された。以上の結果は両腫瘍の腫瘍化と一次繊毛との間の重要なリンクを示唆するものと考えられた。また、他にも腫瘍の病理組織学的観察・鑑別におけるナノスーツ・電子顕微鏡法の有用性を示すことができた。
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