研究課題
報告者は,AMIGO2分子が肝転移のドライバー分子となることをマウス由来の線維肉腫細胞を用いて決定した(Sci Rep 2017).加えて,AMIGO2発現を抑制する低分子阻害化合物スクリーニングにより10種の化合物を同定している.それら化合物の標的シグナルは5シグナルであった.本研究は1)AMIGO2の肝転移ドライバーとしての機能がヒト由来の癌細胞に外挿できることを示した (Pathol Res Pract 2022; Diagnostic Pathol 2022; BMC Cancer 2022).2)上記5種のシグナル経路を複合的に抑制する3種の分子標的臨床薬によるドラッグリポジショニングにて見出し,数系のヒト癌細胞を用いて施行したところ,いずれの癌細胞のAMIGO2発現も抑制することを見出した.3)上記分子標的薬処理を行ったヒト癌細胞ではヒト肝血管内皮細胞との接着が阻害された.4)分子標的薬処理したヒト癌細胞をヌードマウスに脾内移植して肝転移の形成頻度を非処理・溶媒処理癌細胞と比較したところ,現時点では少なくとも2剤の分子標的薬処理によって肝転移を抑制することを見出した.これらの成果より,マウス由来の腫瘍細胞から明らかにしたAMIGO2発現による肝血管内皮細胞への接着機能がヒト癌細胞において外挿されることを明らかにした.このことより,肝転移ドライバー分子としてのAMIGO2分子の機能は,種を越えた普遍的な現象であることを示すことができた.さらに,ヒト癌細胞のAMIGO2を抑制すると生体内で肝転移の抑制に実効することから本研究の当初目的であるドラッグリポジショニングを達成し,肝転移予防化合物候補を決定することができた.現在,候補分子標的薬によるヌードマウスにおける肝転移抑制評価を最終検証中であり,これが済み次第,肝転移抑制化合物の構造解析に移行する.
すべて 2022 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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