研究課題/領域番号 |
20K07450
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
加藤 琢哉 北里大学, 医学部, 助教 (00551970)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 / CAF |
研究実績の概要 |
予備的研究で行ったヒトの膵癌細胞とMeflinを発現させた癌組織由来のCAFを用いた三次元共培養では、Meflinの発現によってMeflin陰性のCAFで見られた腫瘍細胞の増殖促進は見られなくなったものの、増殖の抑制までは起こらなかった。これは元々腫瘍促進性のCAFにMeflinを発現させただけでは抑制性CAFに転換するには不十分であったことを示唆している。そこで、本年度は以前に作成した、より腫瘍抑制的な性質を残していると考えられる正常な膵星細胞(Pancreatic Stellate Cell: PSC, 膵癌におけるCAFのorigin、以下抑制性CAF)を用いて検討した。 抑制性CAFと膵癌細胞株Panc-1またはCapan-2との三次元共培養実験を行ない、増殖能を検討した。その結果、Capan-2は抑制性CAFとの共培養によりゲル内における増殖が抑制された一方、Panc-1は抑制性CAFによる増殖抑制を受けないことが明らかとなった。このことは抑制性CAFの抑制能に対する感受性が細胞株ごとに異なることを示唆している。そこで、本来の研究計画に追加して複数の細胞株について抑制性CAFにより増殖抑制が起こるか否かを検討することを考えている。それら細胞株について、抑制性CAFに感受性のグループと抵抗性のグループに分類し、グループ間の遺伝子発現を比較することで抑制性CAFに対する抵抗性獲得に必要な分子群の解明に繋がると考えている。 また、従来の計画に従い、抑制性CAFに感受性を示したCapan-2細胞を抑制性CAFと共培養し、増殖の早かった細胞塊を回収して純化させる実験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では本年度中に増殖の早い細胞の純化を完了する予定であったが、現状では純化の途中であり、若干の遅れが生じている。しかし、本来の計画に加え、抑制性CAFに対する膵癌細胞の抵抗性獲得機構を明らかにするための新たな計画を策定、進行中であるため、総合的に考えて概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は従来通りの計画に従った、抑制性CAFに抵抗性の膵癌細胞の純化を進め、その親株との遺伝子発現の差異を明らかにしていくとともに、新たに抑制性CAFに抵抗性を示す細胞株と感受性を示す細胞株を検討し、それらの細胞株間の遺伝子発現を比較して、抑制性CAF抵抗性の獲得機構を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴い、研究の実施に若干の遅れが生じ、購入予定だったコラーゲンゲル等の購入が予定より少なかったため、次年度のコラーゲン、マトリゲル購入に充てることとした。
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