研究実績の概要 |
前年度実施した実験により、抑制性CAFの抑制能に対する感受性が細胞株ごとに異なることが示唆された。そこで、本年度は本来の研究計画に追加して、これまでに使用していない膵癌細胞株MiaPaCa-2について抑制性CAFにより増殖抑制が起こるか否かを検討した。抑制性CAFとして用いたPSC, PSC+Meflinとの共培養実験では、PSC+Meflinを加えた場合にのみMiaPaCa-2の増殖抑制が起きることを見出し、前年度に用いたPanc-1, Capan-2とは異なる感受性を示すことが明らかとなった。しかし、現状ではPSC, PSC+Meflinの双方で増殖抑制の起こらない細胞株が発見できていないため、今後さらに細胞株の種類を増やして検討を行う予定である。 抑制性CAFに感受性を示したCapan-2細胞をPSCと共培養し、増殖の速かった細胞塊を回収して純化させる実験を今年度実施予定であったが、当初予定していた速く増殖した膵癌細胞の塊のみを回収する実験方法が技術的に困難だったため、実験方法の見直しが必要となった。そこで、膵癌細胞をmCherryでラベルし、共培養後にゲル全体を溶解してmCerry陽性の膵癌細胞のみをセルソーターで回収する方法を考案した。この方法ではゲルからの細胞の回収は可能であったが、回収できる細胞数が少なすぎるため、ソーティングが非常に困難であった。そのため、代替案としてPSC側にHSV-TKを発現させておき、共培養後にPSCをガンシクロビル処理で殺してからゲルを溶解して細胞を回収する方法を考案した。現在までにHSV-TKを発現するPSCを作製している。
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