研究課題/領域番号 |
20K07452
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
福田 敏史 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (50372313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CAMDI / 脈絡叢 / 中心体 / 線毛 / 自閉症 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
1. 脈絡叢特異的CAMDIノックアウトマウスの脈絡叢での遺伝子発現解析 全身CAMDIノックアウトマウスは微小管を骨格に持つ中心体の未成熟による神経細胞移動の異常を示す。また、CAMDI は微小管の脱アセチル化酵素であるHDAC6と結合し、その活性を負に制御していることを見出している。CAMDIの欠損により微小管関連の遺伝子発現に影響が出ている可能性が示唆された。そこでRNA-seq法を用いて、脈絡叢特異的CAMDIノックアウトマウスの脈絡叢における網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、微小管モータータンパク質ダイニンのサブユニットDnah10、Armc4 mRNAの減少、GO解析により「細胞移動に関する線毛運動」「微小管を基軸にした運動」などで遺伝子発現の減少が認められた。
2. 脈絡叢特異的CAMDIノックアウトマウスの行動学的解析 全身CAMDIノックアウトマウスにおいて自閉症様の行動が確認されており、胎生期の HDAC6特異的阻害剤の投与により神経細胞移動とともに自閉症様行動の一部が回復することを報告している。一方、葉酸の代謝産物であるFolinic acidがヒトの自閉症治療に用いられる奏功していることが報告されている、脈絡叢には葉酸受容体が発現していることが明らかであることから、脈絡叢特異的CAMDIノックアウトマウスにおける葉酸受容体の発現や葉酸の投与による治療効果を検討した。まず、葉酸受容体であるFolR1のmRNAをqRT-PCR法にて解析したところ有意に発現が減少していた。次に、妊娠12.5日から17.5日に母体にFolinic acidを投与し、生後21日目でオープンフィールド試験により解析を行った。その結果、多動と新規環境への適応について改善の傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SPFで飼育できるマウスに限度があること、胎生期にタモキシフェンを投与すると子育てを放棄する親マウスが一定頻度生じることがあり、研究に供するマウスを得るのに時間がかかる。N数を揃えるために繁殖計画や里子に出すなどの工夫を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
1. CAMDIは微小管骨格を安定化し中心体の成熟を促進する。成熟した脈絡叢上皮細胞には数十本の線毛が中心小体から伸長し、脳脊髄液中のシグナルを受容している事が知られている。網羅的な遺伝子発現解析の結果から線毛形成遺伝子の発現減少が認められたため、CAMDIノックアウトマウスの中心小体の増幅や線毛の形成、細胞内のシグナル伝達の異常を検証する。中心小体をg-tubulin、繊毛をアセチル化tubulinで染色し検討を行う。また、電子顕微鏡による線毛の微細構造の比較を行う。
2. 脈絡叢の分化マーカーでもあり甲状腺ホルモンとレチノイン酸と結合して脳脊髄液から脳へと運搬するタンパク質トランスサイレチンの減少が認められている。胎児期のレチノイン酸の投与は催奇形性を誘発する可能性がるため、甲状腺ホルモン(T4)の投与による行動の回復が認められるのか検証する。妊娠12.5日から17.5日に母体にT4を投与し、生後21日目でオープンフィールド試験により解析を行う。投与条件(時期、濃度、期間など)を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響(学生の登校制限など)マウスの使用や消耗品の使用量がやや減少した。今年度に十分量のマウスを繁殖させ研究に供する計画である。
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