大腸には糖タンパク質ムチンを成分とする2層からなる粘液層が存在し、宿主への細菌の侵入を防いでいる。粘液の産生は大腸上皮の中の杯細胞が担っている。本研究課題では杯細胞の分化や粘液産生制御の解析を行った。その結果、大腸に発現するケモカインCCL28がその受容体CCR10を介した杯細胞への分化誘導作用、および杯細胞の粘液産生促進作用を持つ可能性を明らかにした。また、大腸上皮細胞に及ぼすケモカイン系の作用の解析から、CCL28の別の受容体CCR3の阻害が、がん悪性化に関与する上皮間葉転換や倍数体巨大化細胞の形成を誘導することを見出し、そのシグナル伝達経路を明らかにした。
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