研究課題/領域番号 |
20K07457
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
庄司 正樹 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (00636821)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 疾患特異的iPS細胞 / EDSSPD3 / CRISPR/Cas9 / 点変異修復iPS細胞 |
研究実績の概要 |
EDSSPD3患者iPS細胞のZIP13G64D点変異を修復するために、CRISPR/Cas9システムを応用した。具体的には、EDSSPD3患者のZIP13-exon2における一塩基変異(GAT)にgRNAを設計し、遺伝子修復用一本鎖DNA(ssODN)[GGT(Gly)]を合成した。さらに、ssODNは再びgRNA/Cas9複合体に認識されないように、変異コドン以降の2つのコドン配列を、他アミノ酸に変えないものにした。そして、組換えCas9タンパク質およびgRNA、ssODNを共に、EDSSPD3患者由来iPS細胞(女性および男性)に導入した。導入された患者由来iPS細胞は、限界希釈法によりクローン化された後、ゲノムDNAをシーケンス解析することで一塩基変異修復を確認した。 遺伝子修復したEDSSPD3患者由来iPS細胞のZIP13遺伝子配列を確認したところ、ZIP13G64Dのホモ変異型(GAT TCC CTC)からヘテロ変異型(GA/GT TCC/A CTC/A)へと修復されていた。さらに、この変異修復iPS細胞株は、ZIP13-exon2アンプリコンのクローニング解析により片アリル修復が確認されていることから、ホモ接合型からヘテロ接合型へと修復されたことが示された。ZIP13G64D遺伝子変異のヘテロ接合型(GA/GT)は、EDSSPD3を発症していない患者両親と同型である。したがって、当該患者由来iPS細胞のZIP13遺伝子修復株は、EDSSPD3を発症せず、正常な骨芽・軟骨細胞へと分化誘導できると考えられる。以上のことから、CRISPR/Cas9システムによる一塩基変異修復法の適用により、2名のEDSSPD3患者(女性および男性)由来iPS細胞のZIP13G64D点変異修復株を樹立できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EDSSPD3の病態の一つである骨の脆弱性がZIP13の点変異に因るものであることを証明するために、一番の懸念点であったCRISPR/Cas9システムによる一塩基変異修復の適用により、2名のEDSSPD3患者由来iPS細胞のZIP13G64D点変異修復株を樹立できた。
|
今後の研究の推進方策 |
2名のEDSSPD3患者由来iPS細胞のZIP13G64D点変異修復株からMSCを作製する。次に、ZIP13G64D点変異のホモ接合型株とヘテロ接合型株との骨分化おける詳細なメカニズムを解析すると共に、患者由来骨芽細胞の分化誘導を促進する治療薬の探索研究を行う。さらに、EDSSPD3の病態である軟骨の脆弱性についても、患者由来MSCから軟骨細胞への分化誘導を行うことで、解析を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、研究進捗状況に若干の遅れがでたため、次年度使用額が生じた。
|