研究課題/領域番号 |
20K07463
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有末 伸子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00242339)
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研究分担者 |
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (20379093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 保存的タンパク質分子 / タンパク質分子相互作用 / バイオインフォマティクス |
研究実績の概要 |
マラリア原虫種間においてのみ保存されているタンパク質分子であり、アミノ酸配列が非常に保存的であり、機能を類推できるような特徴的なドメインを持たず、更に、これまでに詳細な解析が行われていない保存的なタンパク質分子(Conserved Protein: CP)はマラリア原虫を特徴づける分子基盤に関与している重要な分子であると考えられるため、その機能解析を行い、マラリア征圧を目指した対策に役立てることをその目的として研究を進めている。初年度は41個のCPの候補からマラリア原虫の赤血球期に発現が観察される分子を選び出し、研究のターゲットを分子Xに絞り込みをした。また、この分子がアピコプラストに局在するかもしれない可能性を見出した。2年目となる2021年度はこの分子Xとの相互作用が予測される候補分子10個を探索し、そのそれぞれについてベクターの構築とHis-Tag付のタンパク発現を試みた。マラリア原虫の遺伝子はAT含量が非常に高く、大腸菌で発現させることが困難なため、コドンを大腸菌用に最適化させた人工遺伝子を合成し、発現ベクター(pET15b)にクローニングして使用した。しかしながら、可溶性画分にタンパク質を発現させることが難しく、大腸菌の菌株の選択や培養条件の検討等を重ねている。また、タンパク質相互作用の解析を簡便にするために、発光により相互作用を検出できるNanoBitシステム(プロメガ社)を使用することを考えており、それに必要なベクターの構築を始めた。また、分子Xの原虫内での局在を確認するために、分子Xに蛍光タンパク質を融合させた組換え原虫の作製にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
可溶性のタンパク質を発現させることが困難で試行錯誤を繰り返している。 研究代表者の所属先が変更になり、移動に伴い研究のブランク期間が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
マラリア原虫のタンパク分子を可溶性画分に発現させるために、宿主大腸菌とベクターの組み合わせを再考する。宿主大腸菌については、タンパク質不溶化やフォールディング異常の改善に効果があるとされるOrigamiやRosetta-gami等を使用する。また、発現させたタンパク分子の精製や相互作用の解析が簡便になるような工夫をする。相互作用の解析については、別のタグをつけた2つのタンパク分子を同時に発現させ、相互作用する場合はタグ同士が結合して発光が観察出来るようなシステム(例えばNanoBitシステム)を用いることを予定している。また、分子Xの原虫内での局在を観察するために、蛍光タンパク質を融合させた組換え原虫の作製を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
マラリア原虫に由来するタンパク質分子の発現が困難でタンパク質分子の相互作用の解析など、次のステップに進めなかったこと、また、研究代表者の所属先が変更になり、移動の準備や移動先での研究開始準備に伴い研究を行えないブランク期間が生じたことなどから進捗が遅れ、次年度使用額が生じた。次年度は後れを取り戻すべく、発現したタンパク質を高感度に検出するシステムやタンパク質分子の相互作用の解析が簡便に行えるシステム(NanoBitシステム、プロメガ社)の導入を考えており、それに必要な資材やキットの購入を計画している。
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